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伊阪柊 「The Spandrel(眇渺)」

ユートリア すみだ生涯学習センター
終了しました

アーティスト

伊阪柊
墨田区東向島にあるユートリアにて映像作家・伊阪柊による展覧会「The Spandrel (眇渺)」を開催します。 舞台となる墨田区は外縁の殆どが川や水路などに囲まれています。伊阪はすみだを特徴づけるものとしてその水域に着目。水域を中心に現地を巡りながら行った地形の3Dスキャンをもとに仮想空間を制作しました。プラネタリウムの巨大円形スクリーンに投影された仮想空間を旅しながら、かつてあったとされる島を想像します。現在の具体的な地形や出来事から、今ここにはない場所を想像するプロジェクトです。

墨田区の輪郭の中には、比較的ユニークなポイントがいくつかあります。それは人工的な水路同士の交差点や下を水路が通っている首都高、流れを変えられた河川が残存している池、隅田川と荒川の本流、そして埋め立てられた堀のギザギザとした道路などです。考えてみるとその輪郭のほとんどは水路などの水域への対処方法に関係しているように思われます。

墨田区の土地はかつて隅田川から運ばれた土砂が堆積することで、渺漠とした海面に薄っすらと姿を現したであろう三角州でした。川の力や埋め立てなどにより移り変わるその外縁では、不定形な領域規定が行われ、いつまでも決定されることがない、縹渺としたプロセスとしてあったものと想像します。

その三角州の一つに牛島と呼ばれる島が存在していたと言われています。平安時代からすでに存在していたとされるその場所では、国牧という言わば全国規模で各地に敷かれた牧場があり、牛が放牧されていました。現在も墨田区向島にある牛嶋神社には、その名称と牛を祀る風習の中に当時の名残が残っています。また、牛嶋神社の祭祀の一つに牛が周辺の町を練り歩くというものがあります。そこでは牛歩の歩みによって一つの輪郭が作られていくようにも見え、その牛の歩みによって作られる領域とすでに見えなくなった牛島の輪郭はどこか呼応する波長を持っているように思えます。

一方で隣接する押上エリアもまた、牛島と同様に河川からの土砂の堆積により、渺々たる河口の水面から押し上げられるように陸地が形成されていった地域です。そして押上の現代のシンボルといえる東京スカイツリー、そこからは常に様々な電磁波が発せられています。スカイツリーにかかわらず、現代の生活はスマホをはじめ様々な電磁波の影響下にあると言えます。今回一見、牛島とは関連のないこの電磁波を、人々の生活圏や行動に様々な潜在的な影響を与える目に見えない要素の一つとして設定し、その影響を眇めてみようと試みます。

本プロジェクトでは、墨田区という現代において臨むことができる区画を表現している具体的な場所から、かつての出来事を重ね合わせます。各時代で移り変わってきた水域、陸域および墨田区の領域規定の不断のプロセス、水の行方を追跡することで、単に今現代の堀や川の輪郭に規定されない、かつてあったかもしれない仮想の時空間、牛島を引き揚げることができるかもしれません。

スケジュール

2021年12月8日(水)〜2021年12月11日(土)

開館情報

時間
9:0021:00
休館日
毎月第4月曜日は休館(祝日の場合は開館し翌日休館)
年末年始休館
備考
開場時間 14:00〜20:00
入場料無料
展覧会URLhttp://token-artcenter.com/the_spandrel.html
会場ユートリア すみだ生涯学習センター
https://www.yutoriya.jp/
住所〒131‐0032 東京都墨田区東向島2-38-7
アクセス京成押上線京成曳舟駅A4出口より徒歩5分、東武スカイツリーライン・亀戸線曳舟駅東口より徒歩6分
電話番号03-5247-2001
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