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[画像: 指田菜穂子 「日本文学大全集 明治三十九年の男 八郎」2019、acrylic gouache on canvas、33.3 x 19 cm、(大塚楠緒子 交通遮断 1906)]

指田菜穂子 「日本文学大全集 1901-1925」

西村画廊
終了しました

アーティスト

指田菜穂子
西村画廊では2022年3月1日から4月9日まで、指田菜穂子の作品集「日本文学大全集 1901-1925」(解説: ロバート キャンベル/発行: アートダイバー)の刊行を記念して、同名の個展を開催いたします。

指田は1983年埼玉県に生まれ、2006年早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、2009年東京大学大学院総合文化研究科を修了しました。早稲田大学在学中から「GEISAI」等で作品発表を行い、2011年に当画廊での最初の個展を開催、その後2012年に第4回絹谷幸二賞奨励賞を受賞、2014年にはVOCA展に出品するなど、着実に活躍の場を広げてきています。

これまで指田は、「絵で百科事典をつくる」というコンセプトの下、ある言葉から連想され得る様々な事象を類い稀な構成力で配置し、その言葉が潜在的及び派生的に持つ広汎なイメージを鮮やかな色調の内に描き出してきました。画面に稠密する膨大な図像は、誰もが関連を理解できる典型的なものから一見何の結びつきもなさそうな難解なものまで多岐にわたり、見る者に意想外の発見と知的探求の愉悦をもたらします。また、秀逸な洞察力と博覧によって丹念に構築されたそれらの作品は、簡便な情報の寄せ集めではなく、重層的かつ強固な土台の上に成立しており、その前例のない手法は、絵画史に新たな相貌を付与する新鮮さを抱持しているという点も忘れてはなりません。

今回発表する連作「日本文学大全集」では、1901年から1925年を対象に、夏目漱石『それから』など25作品の日本文学の登場人物を題名に用い、その小説が発表された「年」を主題としています。同じ年に関連するあらゆるイメージを集め当時の世相を表現することによって、書架に並んだ文学全集のように、集積された時間・時代を可視化する、という意図に基づいて制作されています。
大文字の歴史も忘れられた文化も、世を動かした無数の人物も、数多の事象が、ある「小説」と「一年」という範囲で一つの画面上に並列的に視覚化された「日本文学大全集」を前にすると、朧げな認識に留まりがちな史実の理解に強い輪郭が与えられ、現代人には馴染みのない往昔の一時代が実在感を伴った像として立ち現れてきます。そしてそれと同時に、今度は歴史の側から文学の方へ照り返されてくる光に視点を向けることで、その明かりを手掛かりとして、小説の時代背景がより手触りを増して知覚されてきます。この往還にしたがって、鑑賞者-文学-時代の間で織り成される思索的な妙味は、既視感のない、稀なる魅力であるといえるでしょう。

スケジュール

2022年3月1日(火)〜2022年4月9日(土)

開館情報

時間
10:3018:30
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttp://www.nishimura-gallery.com/exhibition/2022/Sashida2022/Sashida2022.html
会場西村画廊
http://www.nishimura-gallery.com
住所〒103-0027 東京都中央区日本橋2-10-8 日本橋日光ビル9F
アクセス東京メトロ銀座線日本橋駅B4出口より徒歩2分, 東京メトロ東西線日本橋駅C4出口より徒歩2分, 都営浅草線日本橋駅D4出口より徒歩2分, JR東京駅八重洲北口より徒歩8分
電話番号03-5203-2800
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