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[画像: 衣川明子《みぎひだり》2022年、キャンバスに油彩、H130.4xW162cm]

衣川明子 + 長谷川さち 「川と子」

ANOMALY
終了しました

アーティスト

衣川明子、長谷川さち
ANOMALYでは、2022年10月29日 (土) より11月26日 (土) まで、衣川明子・長谷川さち 「川と子」 を開催いたします。
衣川明子 (1986年、ニューヨーク生まれ) は、自己と他者との境界、および身体と土地や風景との境界を敏感に感取し、擦り付けるようにして油絵具を薄く何度も塗り重ねる手法により、ぼんやりと浮かび上がり、ゆっくりと変化を続けるような生命のイメージを描いています。長谷川さち (1982年、兵庫県生まれ) は、石彫の表面全体を覆うように細かく刻まれた鑿 (のみ) の痕跡が、物質の微細な振動を可視化し、空間および鑑賞者の意識と共振するような彫刻作品を制作しています。本展では、最新作を含む、衣川のペインティングと長谷川の彫刻作品を展示いたします。

衣川明子は、視覚に依って捉えられた形に与えられた言葉/意味の奥にある、世界を構成するすべての生命体が等しく持つ領域と向かい合うため、2017年頃まで、人間 (ヒト) 、犬、猫や、人間と動物が混ざり合った生命体が画面からこちら側 (観者) を眼差す作品を執拗に描いていました。制作を続けるうちに、画面に描かれた顔が意識 (非物質)、絵の具とキャンバスが肉体 (物質) であると感じ始め、対象の顔や身体は融解して不定形へと変容していきます。それに伴い、流動する粒子や発光する色彩が現れるようになっていきました。

2018年からは、この関心をより多角的に追究するため編み出した描画法 「聴いて描く」 をスタートします。現在も定期的に制作されている本シリーズは、モデルに自身の体内に意識を向けてもらい、感情を身体のどの辺りで感じるか、その様子を聴きながら、その人を木炭で描くというものです。複雑に入り組む肉体と感情の関係から発せられる生の言葉/声が、肉体の外側で止まる視覚のフォーカスを緩めさせ、他者との境界を和らげ、衣川の肉体の捉え方に示唆を与え続けています。

これらの実践により、自身の肉体感覚、他者の肉体を捉える感覚が鋭敏かつ柔軟になっていくにつれ、個体の周囲、土地や風景との境界線が曖昧になっていくなかで、近年は、「日本の臍」、「女体山・男体山」 など、物理的なスケールを飛び越えて地形を人間の身体に見立てた、素朴ながらも固定観念を逸脱するイメージに魅了され、人体とその内側である臓器を、山や川などの地形に投影し、重ね合わせて描くようになりました。さらに、2019年頃からは、「土から人を作る」、「混沌をかき混ぜて島を作る」、「人から他の生物に姿が変わる」、「男女の変換」 などの表現が登場する日本の神話や伝承をリサーチし、実際に自然信仰が残る場所へ赴き、そこで見聞きしたことをモチーフに反映させています。

一方、長谷川は、古来人々が見てきたであろう景色や、畏怖の対象とされてきた自然現象などを参照しながら、生命の循環や物質が発する振動など、肉眼では捉えることのできない現象や記憶を、石を通じて可視化させようと試みてきました。近年ではガラスも組み合わせ、物質と空間との境界を探っています。

長い年月をかけて生成された石の表面を覆い尽くすように細かく刻まれた無数の鑿跡は、空間および鑑賞者の意識を静かに揺さぶり、石の持つ質量や時間が空間に分散し溶け出していくかのような印象を与えます。長谷川の彫刻は、展示空間に置かれた途端、「異次元への変換装置」 となり、空間を一気に変容させる力を秘めています。最新作《あわい》(2022年) では、渦巻きのような造形が出現しています。ケルト、縄文、アイヌなど、世界各地であまた見られる渦巻き文様には、自然への畏敬の念や祈りの気持ちが込められていました。拡張し増幅し続ける渦巻きのエネルギーが、物質と空間の境界を超えて無限に広がっていくかのようです。

世界を構成するあらゆる生命体は絶えず動き続け、変化し続けています。ともに人間の視覚では感知できない領域や現象に目を凝らし耳を澄ます、衣川と長谷川各々の作品が響き合い、二人ならではの相互作用が働く展示空間に是非ご期待ください。

[関連イベント]
トークイベント
日時: 11月12日 (土) 17:00 − 18:30
登壇者: 衣川明子、長谷川さち、長谷川新 (インディペンデント・キュレーター)
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。

スケジュール

2022年10月29日(土)〜2022年12月3日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2022年10月29日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttp://anomalytokyo.com/exhibition/kinugawa_hasegawa
会場ANOMALY
http://anomalytokyo.com/top/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 4F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6433-2988
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