京都dddギャラリー活版印刷がまだ商業印刷の主役であった頃からキャリアをスタートしているアラン・キッチングは、イギリスを代表するタイポグラファ、印刷職人であるだけでなく、その名を世界に轟かせるレジェンドです。1950年代に植字工見習いとして活版印刷の世界に招き入れられたときには15歳だったキッチング、現在に至るまで70年以上にわたり、活版印刷の盛衰とともに歩んできました。
印刷工としての確かな知識と技術に裏打ちされた美しい文字組版。活版印刷が情報伝達の中心的役割を終えた1980年代から90年代にかけて制作・出版された大判印刷物「ブロードサイド」での、実験精神を恐れないタイポグラフィ。活版印刷の芸術的可能性への挑戦。さらに後年の「タイポグラフィック・マップ」(文字のみで構成された地図)で独自性を存分に開花させます。印刷を取り巻く流れや状況に影響されることなく、我が道を進んできたアラン・キッチング。一目見れば彼の作品であると分かるほど、他のなにものでもない、唯一無二の至宝です。
本展は、初期作品から最近作までを網羅、本格的にキッチングを日本で紹介する初めての機会となります。代表作はもちろん、アーカイブに眠っていた稀少な創作物、そして本展に合わせて刷り上げた新作と、まさに色とりどりな珠玉の作品がdddの壁面を埋め尽くします。活版印刷という技術への生涯にわたる献身と、コミュニケーションであると同時に芸術たり得るタイポグラフィの不変の力を体現する作品群に、心躍らされること間違いありません。
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