Gallery Momo RyogokuGALLERY MoMo 両国では、5月20日(土)から6月17日(土)まで、アレグラ・パチェコによる個展「Salaryman」を開催いたします。
本展は、パチェコの初の長編ドキュメタリー映画『Salaryman』の公開後、初めて行われる個展です。美術、写真、パフォーマンスを通して、サラリーマンに焦点を当てながら、過労、オフィスライフ、過労死について探る展示となっています。
「この映画は、ほとんど偶然にできたもので、サラリーマンの生活を記録していくうちに、サラリーマンの世界を正直に描き、理解するためには、サラリーマン自身の言葉で表現することが唯一の適切な方法であると思うようになった。」とパチェコは語り、数年前に東京に滞在していたときに、インタビュー、リサーチしたことをドキュメンタリー映画やアート作品に昇華しました。パチェコは、現代アートというレンズを通して、サラリーマンというテーマを再び探求しようとしています。
パチェコにとって、労働者の搾取や過労死というテーマと正面から向き合うことは必然でした。過労死の犠牲者は、計り知れない悲しみとともに、差別や恥辱に直面しています。このテーマを提起することで、会社や労働者を抑圧する法律ではなく、被害者を責める古い考え方が崩れ、変化が起こるとパチェコは信じています。彼女は、過労死は日本だけの問題ではないと考え、実際、日本に過労死という言葉があることは、意識改革への正しい方向への一歩であると考えています。
「コスタリカでも、他の国でも、過労死はありますが、オフィスではなく、バナナやパイナップルの農園で起こっているため、過労死と意識されることはないのです。ホワイトカラーの中産階級ではなく、貧困層で起きていることなので、私たちは眉をひそめることはないのです。実は、労働者の搾取は、利益率や生産性が人間の命より高く評価される場所で起きているのです。 この展覧会では、たまたま私がこのテーマを探求し始めた場所であるため、日本に焦点を当てていますが、これは世界レベルで関連するテーマであり、これらの問題に光を当てることは、文化や物理的な国境を越えた私たちの連帯責任です。」とパチェコは述べています。
写真作品だけでなく、日本の伝統的なものを混ぜたインスタレーション作品は、パチェコが捉えたコロナ禍以前の社会に日本が戻るのか、コロナ禍以降に見直された働き方を維持するのか、という問いを示唆しています。
本展では、同タイトルの写真集も発売される予定です。また、パチェコ初のドキュメンタリー映画『Salaryman』は、5月13日(土)に東京都写真美術館にて上映、トークイベントを開催する予定です。本展と合わせてご高覧いただければ幸いです。オープニングに合わせアーティストも来日予定ですので、是非ご来廊ください。