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「人新世モドキ」

YOD TOKYO
終了しました

アーティスト

門倉太久斗 /22 世紀ジェダイ、矢野希実、Kindergarten(キンダーガーテン)
この度YOD TOKYOでは、門倉太久斗/22世紀ジェダイ、矢野希実、Kindergarten(キンダーガーテン)によるグループ展「人新世モドキ」を開催いたします。

人間の活動が地球環境に計り知れない影響を及ぼすようになった現代、「人新世(Anthropocene)」 という概念は、文明の進展と引き換えに喪失されたものへの問いを突きつけています。本展は、そこにおいて現実の地層と地球の時間に対する仮構的応答=“モドキ”を提示する試みです。ここに集う三組の作家たちは、植物という、沈黙しながらも自律的な生命体を介して、「見る/見られる」「使う/使われる」「育てる/育まれる」といった双方向的な関係性を問い直します。そして、現実と隣接するもうひとつの自然観̶̶ いわば「人新世に似た何か」を仮構する場を提示します。

門倉太久斗/22世紀ジェダイは、武蔵野美術大学造形学部空間デザイン科ファッション専攻を卒業。門倉の作品に描かれる植物は、一見すると静物画的な構図を取りながらも、画面内で不可解な存在論的逸脱を遂げています。既存の生物分類や性別、さらには美の規範から逸脱し、“花瓶に一時的に住み着く幽霊”として人間の空間へ侵入する彼らは、制度的自然観への批評装置として機能します。門倉の描く「ペニスフラワー」に顕著なように、植物を通してジェンダーという記号さえも再構成されるのです。

矢野希実は、多摩美術大学大学院油画専攻修了。自然や生き物への関心を原動力に、日常における些細な違和感や非日常的な瞬間を、ユーモラスかつドラマティックに描き出します。その絵画には、社会的な規範から一時的に解き放たれるような、やわらかな安らぎが漂っています。そこでは、人間と自然の関係が一方的な支配や対象化ではなく、“共に在ること”として描き出されています。

Kindergartenは、デザイナー「WHICH I WANT」とプラントキュレーター「トロピカルしゅんすけ」によるユニットです。使われなくなった鉢を回収・洗浄し、再塗装・再構築することで、植物と共鳴する一点物の鉢植えを制作しています。レディメイド的な量産鉢への対抗として生まれたこれらの作品は、物質と生命の関係性を詩的に問い直す試みでもあります。「Kindergarten=幼稚園」という名称には、人間が本来的に持っている“遊び”や“育ち”への感性を呼び覚ましたいという意図が込められ、植物という“沈黙の他者”との関係性を通じて新たな形で問い直されているのです。

「人新世モドキ」という仮構の世界は、決して現実から乖離した空想ではなく、現実そのものの襞にひそむ、もうひとつの在り方を照らし出します。東京・原宿という都市の喧騒の中に現れるこの空間は、あたかも言語や制度に先行する、野生の知性が脈打つジャングルのように、多様な感覚と時間が交錯する場となるでしょう。

植物は、自らの論理に従い、誰の目も意識せずに発芽し、開花し、枯れてゆきます。その存在の在り方は、私たち人間が見失いつつある「他者と共にあること」の可能性を静かに示唆しています。ぜひ会場にてご高覧ください。

スケジュール

2025年7月25日(金)〜2025年8月6日(水)

開館情報

時間
11:0019:00

オープニングパーティー 2025年7月25日(金) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
会場YOD TOKYO
http://yoded.com/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-26-35
アクセス東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩5分、JR山手線原宿駅竹下口より徒歩6分
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