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「陶の仏ー近代常滑の陶彫」

高島屋史料館TOKYO
終了しました
本展では、常滑焼という伝統技法の一部が西洋彫刻の近代的技法を取り込み、ハイブリッドな「陶彫(とうちょう)」という存在に転換していく興味深い歴史をご紹介いたします。

「陶彫」とは、まさしく字のごとく陶を素材とする彫刻のことです。あまり知られていませんが、平安時代末期から続く常滑焼は、近代に入ると西洋彫刻の技術・知識が伝播・融合した結果として、数多くの陶彫が生み出されました。日本にまだ「彫刻」という概念が浸透する以前、工部美術学校においていち早く専門的な美術教育を受け、西洋彫刻を学んだ内藤鶴嶺や寺内半月らは、西洋彫刻そのものの社会的地位が確立していない困難な時代に、運命の悪戯から縁あってたどり着いた常滑の地で自らの西洋彫刻の技法を広めていくことになります。他方で彼らは常滑で窯芸に出会ったことにより、自らの「彫刻」作品に陶の概念を精力的に取り入れていきました。

今回、そのひとつの到達点として取り上げるのが、「観音像の清風さん」とも呼ばれていた柴山清風と彼の仏像作品です。清風は戦時中に《千体観音》や《弾除け観音》などを多数制作し、無償配布しました。生涯をかけて、常滑の地で陶の仏の創作活動を続けた彼の作品には、「職人」という一言では決して片付けられない作家性と魅力が詰まっています。本展を通して、知られざる「陶彫」の歴史とともに、近代仏像の魅力に触れていただければと思います。

また皆様には、髙島屋大阪で開催中の「万博と仏教」展(〜2023年12月25日まで)との連動企画として、日本橋髙島屋の屋上に設置している常滑造形集団が制作した《陶製ベンチ(月の椅子)》(実際に1970年の大阪万博に出展された椅子)についても、ぜひご覧いただきたく存じます。このシリーズの作品が、東京でこれほどまとまって鑑賞が可能になるのは初の試みです。椅子に座りながら展示の感想などを語らっていただくとともに、あふれんばかりの熱量により制作された《月の椅子》から、常滑の造形パワーを感じていただければ幸いです。

スケジュール

2023年9月16日(土)〜2024年2月25日(日)

開館情報

時間
10:3019:30
休館日
月曜日、火曜日
祝日の場合は開館
12月30日〜1月2日は休館
入場料無料
会場高島屋史料館TOKYO
https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/
住所〒103-8265 東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋S.C. 本館4F・5F
アクセス東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口より直結、JR東京駅八重洲北口より徒歩5分、都営地下鉄浅草線日本橋駅D4出口より徒歩5分
電話番号03-3211-4111
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