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Claes Oldenburg, Geometric Mouse, Scale B (Red), 1971 SCULPTURE acrylic lacquer on aluminum with brass 37-1/2" x 43" x 34" (95.3 cm x 109.2 cm x 86.4 cm), overall installation dimensions variable Cast 16 of 18 Edition of 18 © Claes Oldenburg, courtesy Pace Gallery

クレス・オルデンバーグ 「いろいろ」

Pace東京
終了しました

アーティスト

クレス・オルデンバーグ
Pace 東京では、2025年7月17日から8月23日まで、アメリカ人アーティストのクレス・オルデンバーグの展覧会「いろいろ」を開催いたします。本展では、1960年代から2000年代半ばにかけてオルデンバーグが制作したシリーズ作品の中から、彫刻と版画をご紹介いたします。この活気あふれる回顧展は、オルデンバーグの創作における多様性に焦点を当て、類を見ない彼の風変わりな世界観に浸りながら、日本文化との共鳴や接点を見出していただける機会となります。本展は、Pace の CEOであるマーク・グリムシャーと、マーチャ・オルデンバーグによってキューレーションされたもので、Pace の創立65周年記念の一環として企画されたものです。マーチャ・オルデンバーグは、オルデンバーグと妻で⻑年のコラボレーターであったコーシャ・ヴァン・ブリュッゲンとの間の娘で、オルデンバーグとヴァン・ブリュッゲン両氏の財団代表です。また、本展は当ギャラリーがオルデンバーグ財団、ヴァン・ブリュッゲン財団、そしてオルデンバーグ&ヴァン・ブリュッゲン財団をグローバルに代表することを発表して以来、初の大規模展覧会であり、両作家が共に歩んだレガシーと、個々の功績を世界にに広く伝えるべく開催するものです。

本展には「いろいろ」という訳題がつけられています。「さまざまな」、あるいは「雑多なもの」といった意味を持つ「いろいろ」は、漢字で表現すると「色」という漢字を重ねます。「色」は本来、色彩や色合いを意味しますが、物の見た目、あるいは比喩的には、英語の「カラフル」と同様、「色気」といったニュアンスを含むこともあります。この「いろいろ」という言葉は、オルデンバーグが熱心に日用品の中に美や意味を見出し、それらを芸術の対象として真剣に再構築してきた姿勢を反映しています。彼は、日常に埋もれている凡庸なあれこれを、愛情を込めて掬い上げ、アートとして命を吹き込んできたのです。

本展は、広義にはオルデンバーグの芸術における多様性と複製性、そしてイメージの変化に対する深い関心に光を当てるものです。オルデンバーグは、世界各地でヴァン・ブリュッゲンとともに大規模なパブリック・アート作品を数多く手がけたことで知られていますが、キャリアを通じてさまざまなメディウムを駆使してより小さなサイズのオブジェも制作しました。かつてオルデンバーグは、「マルチプル・オブジェは彫刻家にとって版画を複製することと同様の解決策であった」と述べています。

今回の東京での展示は、1996年以来の大規模な回顧展となります。それ以外の東京での唯一の個展は、1973年に南画廊で開催されたものでした。オルデンバーグは 1970 年の大阪万博のアメリカ館にて、油圧装置で動く機械仕掛けの大規模な彫刻《Giant Ice Bag》を発表したことでも知られています。また、1995 年から現在に至るまで、東京国際展示場(東京ビッグサイト)の屋外にて、オルデンバーグとヴァン・ブリュッゲンによる大型彫刻《Saw, Sawing》が恒久的に展示されています。さらに、《Inverted Q》(1977‒88 年)は横浜美術館に、《Tube Supported by Its Contents》(1983年)は宇都宮美術館に収蔵されています。

オルデンバーグは 1964 年に Pace で初の個展を開催し、以来 60 年以上にわたって彫刻、ドローイング、巨大な公共モニュメントなど、日用品を唯一無二の存在へと転換させる実践を通して、アートの歴史を再定義し続けたポップ・アートの第一人者です。1950 年代後半から 1960 年代初頭のニューヨークで頭角を現し、ロウアー・イースト・サイドでは「ハプニング」と呼ばれる、インスタレーションやパフォーマンス、その他のメディウムを取り入れたハイブリッドな芸術様式を他のアーティストたちと共に展開しました。これらの一度限りのエンバイロメント(環境)の一例として、《The Street(1960)》や《The Store(1961)》などがあり、Pace での最初の個展では《The Store》からの作品が展示されました。作品に、《The Street》(1960 年)や《The Store》(1961 年)が挙げられます。Pace での初個展の際には、《The Store》のシリーズの作品が披露されました。こうしたハプニングにおける小道具制作をきっかけに、オルデンバーグはアイコニックなソフト・スカルプチャーの創作に着手し、伝統的なフォルムや素材のあり方を覆しながら彫刻の新たな領域を切り拓いていきました。

オルデンバーグと Pace 創業者のアーニー・グリムシャーは、オルデンバーグのキャリアの初期から 2022年の死去まで、60年にわたって親交を深め、協働をしてきました。Pace はこれまでに、オルデンバーグの展覧会を 30回以上開催し、彼の活動に関するカタログを計7冊刊行しています。また、ヴァン・ブリュッゲンとの共作による大型彫刻《Typewriter Eraser, Scale X》(1998‒99年、ワシントン D.C. ナショナル・ギャラリー蔵)、《Balzac Pétanque》(2002年、アトランタ・ハイ美術館蔵)、《Floating Peel》(2002年、スタンフォード大学キャンター美術館蔵)など、多くのプロジェクトを支援してきました。

今回の東京展では、オルデンバーグが塗装した段ボールで制作した《N.Y.C. Pretzel》(1994 年)のマルチプル作品約 60点が、ギャラリースペースの入口付近に設置された自動販売機型のショーケースで展示されます。そのほかのマルチプル作品には、キャスト石膏による《Wedding Souvenir》(1966 年)、塗装されたアルミニウムと真鍮でできた《Profiterole》(1989‒90 年)、そして縫製されたキャンバス素材による《Mouse Bags(マウス・バッグ)》(2007‒17年)などが含まれます。いずれも、私たちが日々目にする食べ物からミッキーマウスのようなポップカルチャーのアイコンまで、オルデンバーグが日常に着想を得て制作をしていた様子が見てとれます。

一方、大型の彫刻作品では、アルミニウム、プラスチックチューブ、キャンバス、フェルト、フォームで制作された鮮やかな⻩色のねじれたトランペット、《Tied Trumpet》(2004 年)が出品されます。また、キャンバスにシルクスクリーン印刷を施して縫製された 9 つのパーツからなる《Miniature Soft Drum Set》(1969 年)も展示されます。さらに注目すべき作品として、アルミニウムとマホガニー材で作られた《Knife Ship 1:12》(2008 年) があります。これは、オルデンバーグとヴァン・ブリュッゲンが 1985 年にヴェネツィアで行った伝説的なパフォーマンス《Il Corso del Coltello》の一環として発表した巨大な《Knife Ship》を、1/12 のスケールで再構成した作品です。この物語性のあるサイトスペシフィックな作品は、キュレーターのジェルマーノ・チェラント、建築家のフランク・ゲーリーとのコラボレーションによって実現したもので、スイスアーミーナイフの形をした船がヴェネツィアの運河を航行するという試みでした。

また今回、この《Knife Ship》をニューヨークのグッゲンハイム美術館のイメージの上に重ねたスクリーンプリント(ヴェネツィアでのパフォーマンスに先駆けて 1976 年に制作されたもの)も展示されます。このほか、アイスクリームの形でアルファベットを描いた《Alphabet in Form of a Good Humor Bar》(1970 年)や、アルファベットの「Q」を海辺にそびえる別荘に見立てた《The Letter Q as Beach House, with Sailboat》(1972 年)、そしてそれぞれが四季を表現した《Apple Core》(1990 年)シリーズの版画も展示されます。
オルデンバーグは、イメージを一つのメディウムから別のメディウムへと変換する反復的で柔軟なプロセス、またそのプロセスを通して数えきれないほどの変容の可能性を示唆することで、芸術の可能性を拡張し、鑑賞者に目の前にある作品をもう一度見ることを促しました。本展に集められた作品群は、彼が類まれな才能で日常を異化し、ありふれたものに魔法や驚きを吹き込んできた様子を物語るでしょう。

スケジュール

2025年7月17日(木)〜2025年8月23日(土)

開館情報

時間
11:0020:00
休館日
月曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.pacegallery.com/exhibitions/claes-oldenburg-this-that/
会場Pace東京
https://www.pacegallery.com/
住所〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 1F, 2F
アクセス東京メトロ日比谷線神谷町駅2番出口より徒歩3分、東京メトロ南北線六本木一丁目駅2番出口より徒歩8分
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