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2026年4月27日より、東京・恵比寿 AL にて開催。パリを拠点に、アート・写真・ファッションを横断する編集を行うカルチャーメディア〈clam〉。誌面制作にとどまらず、展覧会やアーティスト企画を通して活動を行ってきた。本展は、そのキュレーションのもとに構成される。吉本義巳はこの2年、京都を拠点に、抽象と具象を往還する制作を継続している。パリ・ルーブル美術館地下で開催されたアートイベントにおいて、その作品はフランス人批評家により「JAPAN POP」と名付けられた。京都・先斗町を描いた一点は審査特別賞を受賞し、現地の観客によってコレクションされている。 この呼称が指しているのは、日本的意匠の表層ではない。参照されているのは、1960年代パリにおけるジャック・ヴィルグレ以降の都市コラージュの流れである。剥がされたポスター、断片化した文字、重なり合う紙片。街に蓄積された視覚が、そのまま画面へ移行する感覚である。吉本の画面にも、都市の痕跡がそのまま残る。看板の断片、欠けたタイポグラフィ、ネオンのにじみ、夜の光。それらは背景として処理されず、画面の層として留まる。その上に現れる人物は、細部ではなく所作によって成立する。芸妓や舞妓の身体は、断片の中でも崩れず、輪郭を保ったまま佇む。この身体と層の関係の背景には、個人的な系譜がある。吉本は原田治に師事し、その原田は川端実のもとで学んでいる。また北園克衛については、吉本は原田とともに長く研究とアーカイブに関わってきた。 原田が私的制作として続けたコラージュに見られる、既存のイメージを説明へ回収しない扱い。川端が確立した、色面と絵具の層によって時間を含んだ画面。北園が詩誌『VOU』で実践した、文字と図形を同一平面に置く構成。これらは引用として現れるものではなく、制作の内部に組み込まれている。「JAPAN POP」という言葉は、固有の文化記号を並べたポップネスではない。異なる層が混ざり合いながら、無理なく同居している状態を指している。京都を知らない鑑賞者にも成立し、知る者にはさらに深く届く。その二重の読みが評価の軸となった。吉本が長年取り組む抽象実践「cool abstract」は、本展のもう一つの軸である。紙片、色面、文字の断片。それらは意味へ回収されることなく、都市や記憶の手触りとして残る。具象作品と並置されたとき、両者は対立せず、同じ感覚の異なる現れとして繋がって見えてくる。その全体像は、作家自身のアーカイブとしてまとめられている。 https://coolabstract.studio.site/ 会場となるALは、恵比寿・駒沢通りから一本入った遊歩道沿いにあるkikiビルディング1階。2階はキッチンを中心に構成されたスペースがあり、ギャラリーと合わせ、東京の情報発信基地となり、企画展やイベントが継続的に行われている。建物最上階にはFPM田中知之さんのスタジオがある。本展では、核となる作品と密度の異なる作品群を組み合わせ、視線の移動に応じて断片がゆるやかに接続されていく構成とした。見る時間に段階が生まれ、「JAPAN POP」と呼ばれた感覚が空間の中で経験される。京都、パリ、東京。都市を横断しながら蓄積された視覚が、一つの空間に集まる。
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