しかしながら、その活版印刷を使って作る、日本のB全サイズに近い70 x 100cmや、スイス特有サイズの89.5 x 128cmといった、大判ポスターにこだわり続けるのは、世界広しといえど、スイスのダフィ・クーネしかいないのではないでしょうか。グラフィックデザイナーであると同時に活版印刷職人でもあるクーネは、スイスアルプスの麓にある自身のスタジオに、総重量40トンにもなる印刷機や活字のほか様々な設備を備え、それらを駆使して、文字通り手を使い、身体を使って、実に複雑で手間のかかる工程を経てポスターを作ります。金属活字、木活字、手彫りのリノリウム版といった古くからある素材や技術を使いながら、また時に自分で活字まで鋳造しながら、そこに新しいものも取り入れて進化させることで、クーネ独自の印刷の版を構築していきます。さらに、用紙にイメージを定着させる工程にもこだわり、既存の道具をそのまま使うにとどまらず、自分専用の道具を組み立てたり、印刷機に手を加えたりして、従来のものに現代の装置を融合させて、一枚一枚手作業でポスターを刷りあげます。
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