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[画像: 西村大樹 《Crossing the ALPS Third time》 ミクストメディア、水性塗料、海水、和紙、蜜蝋、樹脂、木製パネル 2024 年 67.5 x 48 cm]

西村大樹 「不在の風景、平穏な海」

hakari contemporary
終了しました

アーティスト

西村大樹
このたびhakari contemporaryでは、西村 大樹による個展『Absent Landscape, Peaceful Sea』を開催いたします。災害と環境汚染をテーマとする西村は、2023年8月24日から始まった東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に呼応する新シリーズとして、『Crossing the ALPS』シリーズと『1 – 2』シリーズを制作しました。

『Crossing the ALPS』シリーズは、プロバガンダを目的として作成されたジャック=ルイ・ ダヴィッド(1748 -1825)の絵画「Napoleon Crossing the Alps」を図像として参照しながら、画面上の顔料、水溶性塗料などを海水によって希釈するという手法が用いられています。塗料は和紙の歪みの影響を受けながら画面上に拡散され、図像の支持体となる和紙全体は深い海を思わせる色彩に染められています。画面中央に配置された図像を取り囲むように設けられた木製の簡素な堰は、そこに流し込まれた樹脂の圧力によって崩壊し、そこから溢れ出す樹脂は画面の内側と外側の概念を揺るがしながらも、作品全体を取り囲む二つ目の堰(その高さは一つ目の堰よりも極めて低い)によって辛うじて作品内に留められています。

『1 – 2』シリーズは、福島第一原子力発電所から同第二原子力発電所の間のエリア、立ち入り禁止指定区域の境界線沿いを撮影した写真を用いて制作されたシリーズです。和紙に顔料プリントされた写真は、アルミ板に透明な樹脂を用いて接着されていますが、その樹脂は意図して均一には塗布されておらず、アルミ板と半透明な写真との間に、閉じ込められた空気の層を作り出しています。どのように樹脂を塗布し、どのような力加減で圧着するのか。その機微こそが、このあまりに素朴な作品の中で、作家の思惑が最大限に介在する要素となっています。

これら二つの新シリーズは、ともに東日本大震災とこの度の処理水海洋放出という出来事から端を発し、政治と美術との歴史的関りにおける一つの側面と、それらが日常に与える影響について我々に示唆を与えてくれます。こうした作品群は常にポリティカルな問いを孕みながらも、実直に素材研究を重ねる西村の手によって、美術作品として一つの洗練されたイメージをたたえています。本展では前述の新シリーズとともに、西村の代表的なペインティングシリーズである『Foresight dream』の新作を交え、人間活動と自然環境に対する西村独自の鋭いまなざしと表現とを一連の流れで体感いただける展覧会となっております。
ともすれば目を背けたくなるような環境問題を直視し、重要な問いを投げかける見事な芸術作品へと昇華した西村の展覧会を是非ご高覧下さい。

[関連イベント]
記念トークイベント
日時: 2月17日(土)16:00〜17:00
登壇者: 西村大樹(画家) × 秋丸知貴(美術評論家)

スケジュール

2024年2月17日(土)〜2024年3月20日(水)

開館情報

時間
11:0018:00

オープニングパーティー 2024年2月17日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://hakari.art/exhibitions/alps/
会場hakari contemporary
https://hakari.art/
住所〒606-8344 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町140 ポルトド岡崎103
アクセス地下鉄東西線東山駅より徒歩約6分、京阪線三条駅9番出口より徒歩16分
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