1960年代中盤から現在に至るまで60年以上に渡る活動を展開し、コンセプチュアル・アートの地平を切り拓いてきた美術家ダニエル・ビュレン(1938年、フランス、ブローニュ=ビランク―ル生まれ)。従来の伝統的な美術制度へ一石を投じたDaniel Buren、Olivier Mosset、Michel Parmentier、Niele Toroniによるパリでのグループ結成(1967年)や、60年代半ばに街路空間で行われた無許可のポスター掲示といった活動は、ビュレンの極めて批評的かつ哲学的、そして挑戦的な側面を強調しています。「視覚の道具」と称される8.7cm幅の白とカラーのストライプ柄は、パレ・ロワイヤル中庭に設置され論議を巻き起こした《Les Deux Plateaux(二つの台地)》(1985-1986年)通称「ビュレンの円柱」をはじめ、ギャラリーや美術館、建築から風景に至るまで、彼が実施するin situ作品、および場の構造を問うサイト・スペシフィックなプロジェクトの基軸を成し、現在も世界中で展開され続けています。2016年には建築家フランク・ゲーリーが設計したルイ・ヴィトン財団の建物とのコラボレーションを実現(《The Observatory of Light》2016年)。日本との関わりも深く、第10回日本国際美術展(別名: 東京ビエンナーレ『人間と物質展』、1970年)より来日を重ね、京都にて「借景」の概念と出会い制作の深化に至ったという作家は、2007年には高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)を受賞しています。2026年3月より開催されているSCAI THE BATHHOUSEでの新作個展をはじめ、世界各国で活発に活動を続ける作家の挑戦は留まるところを知りません。
奥の第2室では、光ファイバーとLEDを組み合わせた《Fibres Optiques》シリーズ(2013年)が展示されます。絹織物の伝統的な産地であるリヨンの製造業者との協働作業によって実現した本作は、光と色の作用を媒介として空間および環境へと介入するビュレンの探究を現わしています。作家にとって「色」は、視覚芸術における最も根源的で還元不可能な要素です。その本質的な伝達不可能性ゆえに、あくまで内的かつ個人的な体験としか解釈され得ない「色」という現象は、彼の実践全体を貫く重要な契機のひとつとなっています。また、展示替えがなされる本展後半では、第2室にて6.5時間に及ぶ貴重な映画『Towards time as far as the eye can see』(2018年/ダニエル・ビュレン制作)が公開されます。
まだコメントはありません