YUKIKOMIZUTANIデニス・リンは1976年生まれ、トロントを拠点に活動するカナダ系台湾人の彫刻家です。モビールやレリーフ、立体作品など、リンはこれまであらゆる素材を使用し、様々な形態の作品を制作してきました。日本初個展となる本展では、個人的なものと文化的なものとのあいだに生じる断絶を反映した素材から生まれた作品群を紹介します。それらは憧憬や記憶、儀礼的な要素を通して、一つの空間体験となります。
「Waiting. Still.」は、寄り添い、喪失、そして献身といった要素によって形づくられています。家屋火災から回収された木炭や焼け焦げた石は、台湾にある祖父の製紙工場から持ち出された紙とともに保存されていますが、その家系も今や終わりに近づいています。展示空間は、お香の香りに満ちた祭壇のような雰囲気を帯び、絶え間なく捧げられる神聖行為の場を想起させます。それぞれの要素は記憶を内包しているかのように佇み、伝統や生の経験の痕跡を静かに留め続けています。
リンの制作は、持続的で反復的なプロセスによって展開されます。切断、成形、ブロンズ鋳造、そして繰り返し手に取る行為は、移ろいやすいものにとどまり続けるための手段となります。その作業はゆっくりと慎重に行われ、解決ではなく安らぎをもたらします。反復を通して、行為はやがて瞑想へと変容していきます。
作品をより広い視点で見ると、台湾人としての自身のアイデンティティや、育った場所における地政学的な圧力のもとでの文化の脆弱性についての継続的な思索が浮かび上がります。素材を集め、手入れを施す行為は、ますます不安定になりつつある歴史や慣習を留めようとする意志の表れでもあります。そうした試みの中で、リンは精神性と喪失へのつながりを育み、個人的・文化的・集合的な歴史を架橋する内省の瞬間を提示します。不確実性に満ちた時代において、これらの作品は遺産を蓄える器であると同時に、静かな抵抗として機能します。寄り添いと時間を通じて、脆く儚いものを持続させようとする試みなのです。
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