YOD Gallery(天王洲)このたびYOD Gallery(東京・天王洲)では、細江 英公(Eikoh Hosoe, 1933-2024)個展「抱擁」を開催いたします。
細江は山形県米沢市に生れ、東京で育ち、17歳の時に富士フィルム主催の「富士フォトコンテスト学生の部」で最高賞を受賞し、写真家を志します。1952年、東京写真短期大学(現東京工芸大学)入学後は、デモクラート美術家協会を主催する瑛九と交流を深めるど、既成概念に挑む作家の精神を受け継ぎ、卒業後はフリーの写真家として活動しました。戦後から始まったリアリズム写真運動全盛の時代の中、日本経済の高度成⻑とともに新たな写真表現が求められる中で、細江は59年には川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高らとともに写真家のセルフ・エージェンシー “VIVO”を立ち上げ、より私的で芸術的な表現活動を展開します。
1960年には、舞踏家・土方巽をモデルにした「おとこと女」を発表し、日本写真批評家協会新人賞を受賞します。また、63年には、三島由紀夫の裸体を被写体として、多くのマゾヒスティックな構図の写真で、前代未聞の奇書として国内外に大きな反響を呼んだ「薔薇刑」で、日本写真批評家協会作家賞を受賞します。その後、秋田の農村を舞台に土方をモデルに撮影した「鎌鼬」など、数々の名作を残し時代を切り開いてきました。
また作家活動のかたわら、母校の東京工芸大学で教鞭をとり、海外でワークショップを開催するなど写真文化の普及・発展にも寄与し、70年芸術選奨文部大臣賞受賞、98年紫綬褒章受章、07年旭日小綬章受章、10年文化功労者に選出など、数々の賞を受賞し日本の写真界を牽引しました。
本展では、1960年代末から1970年頃に制作された、細江の代表作の一つである《抱擁(Embrace)》を展示いたします。被写体同士の身体の接触と絡み合いを通じて、生の衝動と存在の緊張、そして身体と身体の境界が混ざり合う瞬間を捉えた重要な写真群です。細江が⻑年追究した肉体の表象は、単なる人体描写を超え、他者との近接が生み出すエロスと不穏さの共存を、ゼラチンシルバープリントによる鮮烈な陰影とフォルムの構築として表します。当時のビンテージプリント27枚の作品を展示し、写真というメディウムを通じて、身体と身体、存在と存在の関係を視覚化する挑戦的な美学を提示いたします。細江写真の根幹にある身体表現の深層と写真への問いを、是非会場までご覧ください。
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