慶應義塾ミュージアム・コモンズモノが私たちの眼の前に在るとき、その背後には製作・使用・交渉・蒐集・展示・転売・転用…といったさまざまなできごとが積み重なっています。モノたちの来し方、モノたちのバイオグラフィは、人間とモノとの関わりの歴史であり、モノに誘われた人間たちの行為を浮かび上がらせるものでもあります。人間の眼からモノたちの眼へと視点を転じるとき、私たちの社会に向けられたモノたちの眼には、いったい何が映るのでしょうか。
慶應義塾大学の民族学考古学研究室で長らく管理されてきたウリやマランガンと呼ばれる木製祖霊像は、20世紀初頭から独領ニューギニアで貿易商を営んでいた小嶺磯吉氏が収集し、後に大学へ寄贈されました。また、「現代の眼-原始美術から」展(1960年、東京国立近代美術館)をはじめとした展覧会で大学外に貸し出され、美術の文脈に置かれることもありました。
本展覧会では、こうしたメラネシア造形物のバイオグラフィに触れることを出発点としながら、他地域の民族資料や考古資料、あるいは美術作品として収蔵される大学のコレクションなどから眼をもつモノたちを展示します。モノたちの眼、そして私たちに向けられたモノたちの眼差しについて、来館者とともに考える空間の創出を試みます。
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