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フィン・ゴッドウィン 「目覚めてゆく風景」

MJK Gallery
終了しました

アーティスト

フィン・ゴッドウィン
MJK Galleryでは、イギリス人作家Finn Godwin(フィン・ゴッドウィン)による日本初の個展を開催いたします。
 
「芸術とは自然の再現ではなく、自然の本質である」 ——ポール・セザンヌ

まだアムステルダムの街が目覚めきらぬ時間、フィン・ゴドウィンは静寂のなかに身を置く。早朝の運河沿いや湖畔、小道に差し込むかすかな光。その曖昧な輪郭のなかで、彼は画板を手に、日常にひそむ繊細な変化と移ろいに静かに呼応する。光に濡れた野花、揺れる木陰、水面のきらめき——それらは壮大な風景ではなく、目を凝らさなければすぐに消えてしまうような、かすかな存在の気配だ。

フィン・ゴドウィンの制作は、観察であると同時に「在ること」への選択であり、絵画という行為そのものが、世界にそっと触れるための方法論となっている。写実を装ったその画面には、単なる描写を超えた感受性が宿り、そこにあるのは誰かにとっての記憶かもしれないし、まだ名付けられていない風景の断片かもしれない。
 
彼の絵画は、片山牧羊の《芒原》や《野中の秋》といった作品群に通じる、抑制された色調と余白の構成を想起させる。あらかじめ演出された視覚的ドラマではなく、静けさや遅さに寄り添う構図。その絵肌には、日本的な「少なさの美学」——侘び、寂び、そしてもののあはれ——が仄かに滲む。たとえば、朝がまだ光として確定しないその境界、街と自然の接続面に漂う、視覚の不確かさ。そこにこそ、彼の眼差しは引き寄せられていく。
 
「朝の都市は、わたしの庭である」。
この静かな宣言は、個人的な世界の再編であると同時に、私たちの視覚の再教育でもある。フィン・ゴドウィンの作品において、都市は単なる場所ではなく、静謐な時間と感情が呼吸する場へと変容する。それは過剰に語られることのない風景へのまなざしであり、世界との和解を願う、現代におけるひとつの祈りのかたちである。

スケジュール

2025年6月14日(土)〜2025年6月29日(日)

開館情報

時間
11:0018:00
休館日
月曜日、火曜日、水曜日
入場料無料
会場MJK Gallery
https://mjkgallery.com/
住所〒111-0043 東京都台東区駒形2-6-4 丸山ビル2F
アクセス東京メトロ銀座線・都営浅草線浅草駅A1出口より徒歩3分、都営大江戸線・浅草線蔵前駅A7出口より徒歩5分
電話番号03-5830-3978
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