姫路文学館こうの史代(1968年生まれ)は、漫画というフィールドで、実に多彩な表現活動をしてきました。
お花屋さんが舞台のコミカルなショートストーリー連載『街角花だより』(1995)でデビューし、インコとの日常を描く4コマ漫画『ぴっぴら帳(ノート)』(1997から2004)で人気を博します。ニワトリと少女のユニークな日々を綴った『こっこさん』(1999から2001)も忘れることはできません。〈命あるものと共にある日常〉を見つめた、これら初期作品の世界観があって、『夕凪の街 桜の国』(2003/2004)、『この世界の片隅に』(2006から2009)へつながっていくことになります。
もちろん、それは到達点ではありません。こうの史代はさらに先へ進みます。漫画という表現に、誰よりも強い好奇心を持っているからです。
非凡なアイデア満載の『平凡倶楽部』(2006から2010)で読者を驚かせたかと思えば、『ぼおるぺん古事記』(2011から2012)ではボールペンだけで「古事記」を忠実に漫画化しました。東日本大震災の翌年から連載を開始した『日の鳥』(2012から)は、妻を探す雄鶏の目を借りて、移りゆく時の流れをスケッチしています。
漫符を素材にした画期的な漫画図鑑『ギガタウン 漫符図譜』(2015から2017)、「百人一首」と遊んだ華麗なカラー1コマ漫画『百一 hyakuichi』(2018から2020)、「般若心経」をコロナ禍と重ね、2色の線が絡み合う最新長編『空色心経』(2023から2025)など、新しい漫画の可能性へ向けて、挑戦は続きます。
こうの史代の特徴として、アシスタントを使っていないことが挙げられます。そのため、どの線にも彼女の気持ちがこもっています。たった一人で描いた「一枚の絵」として原画を見ることで、これまで気づかなかった線の魅力、色の力を感じていただけることでしょう。
本展では、10代の時の作品から最新作まで、500枚以上の漫画原画を展示します。そのほかデビュー以前の貴重な資料の数々、膨大な挿絵原画、絵本原画、ブログ「こうのの日々」に登場するスケッチブック、執筆風景を記録した初公開の映像など、こうの史代の画業のすべてがわかる展覧会です。
会場の広さの都合から、前期と後期で、ほとんどの作品を展示替えする予定です*。見ていただくには、少し面倒をかけてしまいます。でも、この姫路文学館から初めて展示される、今年連載が始まった漫画原画の展示もございます。前期後期、どちらを見てくださっても、充実の内容です!(もちろん、両方見ていただくのもうれしいです!)楽しみに待っていてくださいね。
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