終了した展覧会・イベントです
Sarah Brahim, There will be soft rain (2025) © Sarah Brahim. Courtesy of the artist and Laurence Hills

「ノスタルジアの未来」

寺田倉庫G3-6F
終了しました

アーティスト

メイサ・アブダラ、ヤスミナ・ベンアブデラフム、ビアンカ・ボンディ、サラ・ブラヒム、ザロメ・シャトリオ、ムハンマド・アルファラジ、サラ・ファヴリオ、ムハンマド・キリト、アグニェシュカ・クラント、ハン・メンギュン、テオ・メルシエ、アブデサマド・エル=モンタシール、ルイ=シプリアン・リアル、ダニア・アルサレー、アンハー・サレーム、ウーゴ・スキアヴィ、ユーゴ・セルヴァニン、ソフィアン・シ=メラベ、イッタ・ヨダ、アイマン・ゼダーニ
本展「ノスタルジアの未来」は、アルウラにとって国際的影響力という点で新たな節目となるとともに、創造分野の交流が世界中で進む現代において、その地位をますます確固たるものとする展覧会です。アーティストやキュレーター、そして国外からも専門家や関係機関を招くことで、アルウラという土地がもつ特別な魅力と、文化の未来を切り拓く力を伝えています。本展は、知識と経験がめぐり合い、新たな芸術実践が生まれ、アルウラと世界の主要な文化都市とのつながりを深めていく場となっています。

本展では、サウジアラビア王国アルウラでの滞在制作を通じてこの場所で生活し、創作活動を行ってきたアーティストたちを紹介するとともに、この地域にとって創造の原初的な舞台であるオアシスを、地質学、口承史、考古遺跡、そして新しいテクノロジーが重なり合う「パリンプセスト」(重層的な記録)として捉えています。2021年以降、アルウラ・アーティスト・イン・レジデンス・プログラムは、アーティストたちにこの地を物語として「現在」に呼び起こすことを託してきました。数千年にわたる歴史を有するこの特殊な環境には、アラブ世界の記憶の層が、象徴の次元においても、物質として残る具体的な遺産の形でも、イスラム以前の文明の考古学的痕跡と共存しています。玄武岩や砂岩には古代の儀式や長い巡礼の痕跡が刻まれ、ヤシの木立はかつての集落跡を覆うように繁っています。火山や海、風によって形づくられた断崖や砂漠は、未来へと向かう都市的な構想と出会い、調和を見せながらユートピアの入り口に立っているところです。

急速に進む社会の変化は、私たちの帰属意識を断片化させ、そこからある種の「憧れ」が生み出されています。それは感情的な憧れであるのはもちろんのこと、時代の状況を映し出すものでもあります。ここに集うアーティストたちは、その感情の衝動を触媒として、多様で、現実に根ざし、そして議論に開かれた未来を構想しています。私たちが「どこから来たのか」についての物語をいかに守り、語り継ぐのか。そのやり方が、今度は「これから私たちが向かう場所」をいかに形づくるのか、彼らはそれを探求しています。現実に対する私たちの認識、そして時間がそれをどう変化させるのかを問い直すことで、これらの作品は私たちに新たな問いを投げかけます。それは「何であるのか?」という問いではなく、「もし⋯ならどうなるか?」という問いです。

ノスタルジアはしばしば、過去への感傷的な憧れや郷愁的な回顧として片づけられてきました。しかし文化理論家スヴェトラーナ・ボイムにとって、それは単に過去の時や場所に戻ることを望む感情ではなく、現在から切り離されたものでもありません。彼女の代表的著作『ノスタルジアの未来』(2002年)——新世紀の転換期における重要な考察であり、本展タイトルの着想源となった作品——の中で、ボイムはノスタルジアを、集団的に経験されうる感情として位置づけています。それは、社会の現在のあり方だけでなく、想像上の未来をも形づくる力を持つと述べています。もっとも、ノスタルジアという概念は、未来志向や21世紀的な進歩、そしてテクノロジーの飛躍的発展に駆動される現代においては、時代にそぐわないもののように見えるかもしれません。しかし、めまぐるしく変化するこの世界では、私たちが思い描く未来像もまた、現在という時代が次の世代に残していく痕跡への意識によって形づくられています。今日の欲望と明日の必要性は絶えずせめぎ合い、機敏さを保とうとする努力のなかで——そして「加速」という感覚に包まれながら——私たちの時代は、「今」を楽しみ喜ぶことを、あるいはただ「今」を生きることそのものさえ忘れてしまう危うさを抱えています

スケジュール

2025年11月5日(水)〜2025年11月16日(日)

開館情報

時間
11:0020:00
入場料無料
会場寺田倉庫G3-6F
https://www.terrada.co.jp/ja/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10
アクセス東京モノレール天王洲アイル駅より徒歩3分、りんかい線天王洲アイル駅より徒歩2分、JR品川駅港南口1番乗り場より都営バス(大田市場行き、品98)「新東海橋」下車徒歩1分
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