猪熊弦一郎《題名不明》1929年頃 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団

「猪熊弦一郎展 物が在る」

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
2月15日終了
猪熊弦一郎の画業のうち、学生時代から1950年までに描かれた具象的な絵画の中から、静物の表現に着目してご紹介いたします。
静物は古くから東西の絵画の中で描かれてきました。西洋絵画では器や壺、花、果物、石膏像、楽器、書物など、身近な生活空間にある様々な物をモチーフにした静物画は、特に17世紀のオランダにおいて主要なジャンルとなります。そして19世紀の終わりにセザンヌが描いた卓上の静物は、絵画空間に複数の視点をもたらす革新的な表現として、キュビスムをはじめとするその後の様々な芸術の潮流を導きました。

20世紀初頭に生まれた猪熊弦一郎(1902-1993)も、その画業の前半期には静物を具象的なアプローチによって表しました。身近なものをよく観察し、描くことは絵画制作における基礎的かつ重要な姿勢と言えます。猪熊は1922年に東京美術学校(現 東京藝術大学)に入学すると藤島武二の教室で学びますが、この時に藤島より「デッサンが、悪い」と指摘されたことは、その後の生涯にわたる教えとなりました。そして、デッサンを通して対象を丁寧に観察することの重要性について考え続けます。
在学中から卒業後には、石膏像や髑髏など西洋絵画の伝統的な静物のモチーフにも挑戦しています。また、人物を中心とした絵画においても様々な静物を描きました。たとえば、身近な人物、アトリエの中のモデル、パリ遊学中に街で出会った人々などを表した絵画の中に、本や楽器、壺、果物などのモチーフが登場します。静物のみを描いた作品も、人物と静物をともに描いた作品も、いずれの場合もモチーフの色や形、配置などの工夫により、画面全体のコンポジションがつくり上げられています。

本展では、こうした静物の表現を3つのアプローチより取り上げます。「静物を見つめる」では、静物を中心のモチーフとして描いた初期の作品を、「人物とともに」では、室内や戸外で人物とともに描かれた静物をご紹介いたします。「卓上に」では、テーブルの上に描かれたモチーフに着目いたします。

猪熊はその生涯において、道端で拾った物から骨董屋で手に入れた高価な物まで区別なくコレクションし、「良き友として」あるいは「恋人のように」大事にしていました。人の暮らしの傍らで、日常をかたちづくる物に注ぐあたたかなまなざしは、その絵画の中にもあらわれています。ある時は絵画の探求を導くモチーフとして、ある時は画面を構成する不可欠なモチーフとして、猪熊が見つめ、表した様々な静物にご注目ください。

スケジュール

開催中

2025年12月13日(土)〜2026年2月15日(日)あと60日

開館情報

時間
10:0018:00
休館日
月曜日
1月12日は開館
12月25日から31日、1月13日は休館
入場料一般 300円、大学生 200円、高校生以下・18歳未満・65歳以上(丸亀市内に在住)・障害者手帳提示と付き添い1名 無料
展覧会URLhttps://www.mimoca.jp/exhibitions/inokuma_stilllife/
会場丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
http://mimoca.org/ja/
住所〒763-0022 香川県丸亀市浜町80-1
アクセスJR予讃線丸亀駅より徒歩1分
電話番号0877-24-7755
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