終了した展覧会・イベントです

「Ground Zero」

京都芸術センター
終了しました

アーティスト

イーデン・ソンヨン・キム、ビビアン・セレステ・リー、マヤ・エリン・マスダ、​成定由香沙、山縣瑠衣
Ground Zero - グラウンド・ゼロとは、もともと核爆弾やロケットの爆発現場を表す言葉です。マンハッタン計画以降用いられてきたこの言葉は、現代において、輝かしい未来の喪失を表象すると共に、その代償によってもたらされた「何もない場所」という複数性を持った言葉として流用されています。

2021年3月より始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、大量の人的被害を出すだけでなく、 森や土地、動物に対する核エネルギーの汚染など甚大な影響を残しました。失われたものは身体や物質だけではありません。ロシア人音楽家によって作曲された曲の演奏の倦厭など、侵略国であるロシアに対する国際的な拒絶は結果的に、特定の土地に纏わる文化や歴史を、人々の記憶やサイバースペースといった複雑な関係性の網目からも消滅させることとなります。ここにおいて、 地球を含めた人間を超えた種に対して我々人間がもたらした「ジオ・トラウマ」は、地形という物理世界から拡大し、文化や記憶といった無形の領域においても巨大なヴォイドを形作る事態を招きつつあるのです。

本展は、こうして2019年以降ロシア近郊に作り出された物質的/非物質的なヴォイド・スペースを、 現代における新たなグラウンド・ゼロと捉え、その痛みの記憶の分有を試みるものです。本展に参加するの5人のアーティストは、チェルノブイリでの災害や冷戦時代に繰り返し描かれてきたアポカリプスの表象を、福島第一原発の放射能汚染やドイツの廃棄原子炉に纏わる事象など、それぞれの個人の存在に深く纏わる事象の延長として捉え、局所的なジオ・トラウマを地理的/文脈的に脱中心化することで、物質的な距離の想像力を超えて自分の内部に引き受けようとします。滞在制作と度重なるアップデートを含んだリサーチベースのこの実践を通して、個々のアーティストが引き受けた痛みと共に生きるための術を学びなおす(Un-Learn)ことは、国境を跨ぐことのない当事者/非当事者の囲い込み、また記号化による小さな無数の痛みの忘却に揺さぶりをかけるでしょう。

会場: 京都芸術センター ギャラリー北・南

スケジュール

2023年11月11日(土)〜2023年12月10日(日)

開館情報

時間
10:0020:00
入場料無料
展覧会URLhttps://www.kac.or.jp/events/34621/
会場京都芸術センター
https://www.kac.or.jp/
住所〒604-8156 京都府京都市中京区山伏山町546-2
アクセス地下鉄烏丸線四条駅22番出口より徒歩5分、阪急線烏丸駅22番出口より徒歩5分
電話番号075-213-1000
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