MIKKAL GalleryMIKKAL Galleryはこのたび、鈴木遙大による個展「回帰不能点」を開催いたします。本展は、鈴木にとって日本で初めての個展となります。
人は過去を振り返ることはできても、過去そのものへ立ち返ることはできません。時間の経過とともに環境は変化し、自身の思考もまた変化していきます。「回帰不能点」とは、一度通過すると二度と元の状態へ戻ることのできない地点を意味します。本展は、鈴木遙大が自身の歩んできた5年間をたどり直しながら、その取り戻すことのできない距離と向き合う試みです。
展示される5点の作品は、2022年から2026年まで、それぞれの年に制作された一作ずつによって構成されています。16歳から20歳に至るまでの時間。18歳で英国へ渡った経験と、その後の環境の変化もまた、作品の解釈に新たな層を与えています。
しかし鈴木にとって、これらの作品は成長の過程を順序立てて説明するための記録ではありません。それぞれの作品には、その時々に鈴木が向き合っていた問いや問題意識が刻まれています。それらは現在から振り返れば異なる意味を帯びながらも、なお作品の中に留まり続けています。後の思考によって整理される以前の疑問や違和感、関心がそこには残されています。それらは、当時の鈴木が世界に向けて差し出した、一つの応答でもあります。
人の思考は、時間とともに変化していきます。1年後、5年後、10年後には、現在信じていることでさえ、異なる姿を見せているかもしれません。同様に、作品もまた制作された瞬間の意味に留まり続けることはありません。時代や社会状況、そして鑑賞者自身の変化によって、新たな解釈を生み出し続けます。
本展において振り返られるのは、過去の作品だけではありません。現在の鈴木自身もまた、それらの作品によって問い返される立場にあります。しかし、その対話は決して過去への回帰ではありません。かつての自分へ完全に戻ることはできず、当時の世界をそのまま取り戻すこともできないからです。
本展は、決して単にノスタルジアのための展示ではありません。過去の自分と現在の自分とのあいだに生じた距離を見つめ、その隔たりのなかから、変化したものと、いまもなお残り続けるものを探る試みです。そして、その距離を受け入れることによってのみ見えてくる未来への問いへと開かれていきます。
鈴木遙大の5年間をたどることが、鑑賞者一人ひとりにとって、自らの過去へと視線を返しながらも、もはやそこへ戻ることのできない現在地を見つめ直す契機となることを願っています。
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アーティストトーク
日時: 8月7日(金)18:00〜19:30
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