Art Gallery 待夢 -TIME-本展は、言葉になる前の思考や感情の状態に焦点を当てた、陶芸によるインスタレーション展示である。
人が他者とコミュニケーションをとる際、無意識のうちに取捨選択され、表に出るのは整理された言葉のみである。一方で、選ばれなかった思考や未整理の感情もまた、個人の内面を構成する重要な要素であるという視点から、本展は構想されている。
早川は、そうした「まだ形を持たない思考の集合体」を胎児のイメージに重ね、陶という素材を用いて立体化する。胎児は、未分化でありながら確かな生命として存在し、内側に可能性とエネルギーを内包する象徴的な存在である。本展では、そのイメージを軸に、思考が生まれ、留まり、循環する場として空間全体を構成する。作品は鑑賞者に明確な答えや結論を提示するものではなく、「考えている途中」の状態そのものを可視化する試みである。鑑賞者は、作品と空間を通じて、自身の内側にある言葉になる前の感覚や感情に静かに触れる体験へと誘われる。陶という物質がもつ質量感や触覚性と、未定形な思考のイメージとの対比も、本展の重要な見どころのひとつである。内面の揺らぎや未整理な状態を否定するのではなく、肯定的に受け止めるための「場」として、本展は構成されている。
まだコメントはありません