OIL by 美術手帖ギャラリーカワイハルナは、幾何形体を組み合わせた構成物を描き、現実の現象を観察するなかから取り出した要素を絵で再編集し、表現するアーティストです。昔から椅子の脚の付け方や三本脚の安定性など、モノやその構成に関心を持ち、学生時代には建築・設計を専攻、その後アーティストとして活動を開始しました。
物体の構造に対する興味が色濃く反映された彼女の作品は、キャンバスや紙、透明フィルムなどを支持体に、架空のモチーフを緊張感のあるバランスで描いており、本や雑誌の挿絵にも多数起用されてきました。
カワイは以前に、量子力学の「重ね合わせの原理」というテーマに取り組んでいました。これは、モチーフがAかBか断定できず、人が観察した瞬間に確定するという概念です。シュレディンガーの猫のように、観察によって初めて決まる状態を描き出すことに挑戦していました。これに対し「状態の共存」と題した本展では、揺れ動く存在そのものをそのまま描くことに焦点を当てています。 揺れる/止まる、自立する/倒れるなど、相反する様相のどちらでもありうるモチーフが、同時に絵として成立する状態を表現し、どちらとも言えない状態の美しさを捉えます。一つの絵の中でモチーフがAになるかBになるか、その境界線上で揺れ動く様子を描き出し、見る人に次の瞬間を想像させる、カワイハルナの新しい挑戦と現在地をぜひご高覧ください。
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