白井晴幸「静物をゆらす」

HECTARE

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アーティスト

白井晴幸

この度HECTAREでは、写真家・白井晴幸による個展「静物をゆらす」を開催します。本展では白井が独自に改造したデジタルカメラを用い、「部屋」と「静物」をテーマにした新作を発表します。

これまで白井は《Panorama》や《景色の光線》など自身でフィルムカメラを改造し、街の中でスナップした作品をいくつも作ってきました。都市の中に身を置きながら、人々や風景が織りなす偶然の動きを記録することで、見ることと写すことのあいだに生じるズレや揺らぎを探ってきました。

一方、新作では部屋という私的で身体に近い空間に視線を向けています。つい最近、私生活でも父親になった白井は、その経験を通して内面に目を向けるようになったと言います。被写体となるのは部屋の中に置かれた花やモビールなどの静物です。それらにわずかな動きを加え、特有の反応を示す改造カメラによって撮影を行っています。この改造カメラは動くものに対して予測不能な歪みや像のズレを生み出す特性を持っており、本来「止まっている」ものが時間と動きによって不安定な像を結びます。室内を通り抜ける風や、窓から差し込む光といった「かたち」を持たない気配が偶然の像として現れるのです。

白井の作品は、写真が本来持つ「写ること」の構造をわずかにずらし、私たちが当たり前に見ているものやその枠組みを見直すユーモラスな視点を与えます。

スケジュール

2025年6月21日(土)〜2025年7月13日(日)