亀戸アートセンター亀戸アートセンターは、ピクセルアートを主軸とした、新しさと懐かしさが共存する緻密でユニークな作風で知られるアーティスト、ヘルミッペによる個展「ポイントレス」を開催いたします。
ヘルミッペは数年前からストリートアートの要素や日常生活の断片を取り込みながら、都市や個人の記憶を独自の視点で描き出してきました。本展では、そうした自身の生活圏や思考の軌跡を、風景画というフォーマットの中に落とし込んだ連作を発表します。
それら連作は全16点で構成され、生まれ育った多摩ニュータウンや、現在生活している土地、展覧会会場の亀戸アートセンターなど、作家が実際に関わってきた場所をモチーフにしています。作家の特徴でもある色数を制限した色彩によって描かれる風景は、現実と空想の境界を曖昧にしながら、そこで生まれる感情や記憶を抽象的に浮かびあがらせます。
本展タイトル「POINTLESS」は、直訳すれば「無意味な」「目的がない」を意味します。ヘルミッペはこの言葉を、作品に「意味づけ」を求めすぎる態度へのささやかな抵抗としてタイトルに選びました。
街中に描かれている匿名性の高いグラフィティアートには、明確な意味や目的が読み取れなくても、その「姿がみえない作者の何か」が痕跡として存在しています。SNSや考察文化のように、意味を過剰に読み解こうとする現代のコミュニケーションのあり方を意識しながら、あえて“わからなさ”や“曖昧さ”を一度受け入れることで、アートという枠組みよりも、ストリートやゲームのように生活に根ざした表現の自由さを取り入れたいという思いがそこには込められています。
今回発表される連作をもとに制作された16枚のカード作品も本展のもう一つの軸となります。カルタのように風景とテキストが組み合わさった構成で、カードゲーム作家「ポイエータイ・いえきよ」とのコラボレーションによって独自のルールを持つゲームとしても成立しています。
また会場では作家の生活と関わりの深い寺院「簗田寺」に併設された調香所「まとい」によるオリジナルのお香を使用した「薫習(くんじゅう)」の体験も行われる予定です。来場者が持参した布や衣服に香りを染み込ませて持ち帰るこの試みは、「良い行いを日々積み重ね、香りのように身につける」という仏教の教えから着想を得たものです。
ヘルミッペの生活の中から掬い上げたあわいの表現が意味や目的を超え、鑑賞者の感性に自由に響く展覧会になることを期待します。
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