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[画像: 大木裕之《アブストラクト権化》 (2023−2024) 3チャンネル HDビデオインスタレーション ©︎Hiroyuki Oki]

大木裕之 「アブストラクト権化」

ANOMALY
終了しました

アーティスト

大木裕之
ANOMALYでは、2024年3月16日(土)から4月13日(土)まで、大木裕之 個展「アブストラクト権化」を開催します。本展では、最新作および《色目》など90年代の初期フィルム作品を含む全10点の映像作品、建築物としての立体作品《黒庵》、その他ドローイングなどを展示いたします。

本展では、三つの映像が建築的に配され、ロンドン、上海、東京の三大都市の映像によって成る最新作《アブストラクト権化》(2023–2024)が初披露されます。その他にも、1998年から始まった、撮影/編集を厳密な構造のもとに行うデジシリーズの最新作《木三(ムミ)》(2023–2024)では、3分x10章の作品構造の中で、自身の母の「死」と向き合いつつ、運命/世界を表出させます。更には、イスラエル、エチオピア、山形、などで撮影した映像により、人間の長い歴史/現在を紡ぎ出し、光(「オー」はヘブライ語で「光」という意味)を魅せる《オーマイゴッド!》(2019–2024)、1989年より北海道松前町にてライフワーク的に撮影/制作を続ける「松前君」シリーズの最新作《松前君の映画2024》(2024)、昨年の恵比寿映像祭でのコミッション·プロジェクトで制作·公開され、東出昌大氏の主演起用でも大きな話題を呼んだ、<映像/映画>と<ライブ/パフォーマンス>の実践の凝縮としてしての作品《meta dramatic》(2023–2024)の最新バージョンなど、多数の新作、シリーズ最新作が一堂に集まります。

断片的なイメージと言葉が連なり、そして重なる、構築的かつ詩的な大木の映画・映像作品を、映画評論家のトニー・レインズは「大木映画のパラドックス」という論考の中で以下のように絶賛しています。

「世界とかかわり、意味をくみ取ろうともがく自我の働きを引き受ける点で、彼(=大木)は現在他のどの映画作家よりも徹底している。彼にとっては、自発性とコントロールの隙間の空間は、他の両極性-能動と受動の狭間、混沌と秩序の狭間、狂気と正気の狭間、オルガニスムと無感覚の狭間など-にあるものと同義である。」

社会/世界/地球へ何をもたらすことが可能かを考え、極の間を揺れ動くことで、この世の歪んだ調べを整えたいと願う大木。彼の映像に触れたわれわれ鑑賞者は、現在の固定化された認識が揺さぶられ、それにより社会への問いが生じ、思考し、祈り、ことばを「権化」させていきます。大木は現代社会が機能不全と認識障害に陥っていると度々口にしますが、彼の作品はそういった社会で生きる私たちの凝り固まった概念、緊張した筋肉をほぐし、その時、気がつきもし得なかった認識をわれわれは得るのです。

大木は本展を構築するにあたり、「建築的に作っていく」と宣言しました。建築学科出身の大木は、今でも自身の映像作品と建築の密接な関係性を意識しています。例えば彼が描く綿密なシナリオは、一つの建築図面のようでもあり、また断片的な映像のそれぞれが、緩やかに連結し全体として成立するその構成は、大木にとって建築物のアナロジーでもあります。大木の考える建築には、いわゆる「建物」としての建築物だけでなく、人や物、時間やプロセスなど、実体のあるものから概念的なものまで含まれますが、映像作家として高い評価を得ながらも、自身のことを「建築家」とも称する大木にとって本展は、一つの建築物に他なりません。作品はもちろん、会場のインスタレーション、パフォーマンス、作品同士の関係性、鑑賞者との関係性、時間との関係性etc…が建築的に思考された展覧会が、われわれの目前にやってくるのです。

諸々の関係性が建築的に思考する、と触れましたが、大木はそれを、自身のアクションやパフォーマンスでも行います。大木の特徴のひとつに、作品の多くをシリーズ化させ、その構成を厭わずアップデートさせていくこと、同様に展覧会の構成もアップデートしていくことが挙げられます。それぞれの作品にはそれぞれの時間や空間が内包されているように、展覧会会場にもそれぞれの時間と空間が内包されています。異なるショット、つまり異なる時空間の絡み合いで大木の作品が構築されるように、展示空間も時間とともに生成変化していきます。大木はその都度の状況に対応しつつ、展示に変化を加えていくのです。会期中の大木のアクション、そしてそれにより何が起き、何がもたらされるのか、ご注目ください。

[関連イベント]
トークイベント
日時: 4月3日(水)19:00〜20:30
登壇者: 大木裕之(芸術家)、郡司ペギオ幸夫(生命基礎論研究者)、千葉真智子(豊田市美術館学芸員)
※イベント詳細は公式ホームページよりご確認ください。

スケジュール

2024年3月16日(土)〜2024年4月13日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2024年3月16日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttp://anomalytokyo.com/exhibition/abstract-incarnation/
会場ANOMALY
http://anomalytokyo.com/top/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 4F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6433-2988
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