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普後均《On the Ground – 天地を見る》 2008年、インクジェットプリント、各26×39cm ©Hitoshi Fugo, courtesy of MEM

普後均 「On the Ground」

MEM
終了しました

アーティスト

普後均
普後均は写真に写らないものを気にかけてきた。被写体を捉えてはいても、写っているものを触媒としてつながる向こう側の何かにむけてカメラを向けてきた。
本展タイトルにもなっている未発表シリーズ《On the Ground》は、三つのグループを含んでいる。ひとつは《蝉を拾う》、もうひとつは、《時に触れる》、三つ目が《天地を見る》である。2004年ごろから撮り始め、撮影行為と思考を往復する運動が重なるなかで、しだいに幹が太くなり枝を伸ばし葉が繁るようにしてできた作品群である。
普後は、夏が終わると家の周りや裏手にある運動場で、生命が尽きて落ちている蝉を拾っては家に持って帰っていた。手に取って蝉の死骸をしげしげ眺めてみると、虫に食われているもの、羽が引きちぎられたもの、踏まれて身体の一部が欠損しているものなどそれぞれ特徴があり、また羽脈や、身体のつくりや、表面の艶なども含め造形的に美しい。普後はそんな蝉の亡骸に魅せられ、ひとつずつ丁寧に写真に収めた。裏と表を撮影しプリントに伸ばした。拾ってきた蝉が溜まると、普後はひとつずつすりつぶして粉にすることにした。ひとにぎりの粉は個体ごとに小さいガラス瓶に収められた。そのガラス瓶もまた、蝉の一生が一様ではないように、それぞれの個性を見せて存在していた。普後はその瓶も撮影して、蝉の裏表の写真とともに三枚組にした。これは普後なりの蝉の埋葬の仕方でもあったに違いない。
蝉も人間も含めてすべての生命が誕生し土に還る、その連鎖が我々のいまの存在に繋がっている。太古から繰り返されてきた循環する時間の流れと蓄積を撮れないだろうか、そう考えていたときに、縄文、弥生時代の発掘調査が運動場であった。掘られた穴に現れた地層は何千年もの時間が積もり積もった形であり、それは過去の時間に触れるということでもある。《時に触れる》はそれを撮影することから始まり現在進行形で日々変化していく運動場でのイメージである。
加えて、運動場での一つの地点を決め現場に行った時に必ずその地点の足元の地面と、その真上の空を撮影して対の写真にした。
蝉の最後の形を精密描写した《蝉を拾う》、現在から太古の時間まで繋がる《時に触れる》、そして地球と宇宙が一本の視線で貫かれる《天地を見る》、それらが、蝉の亡骸を中心にして集まり、《On the Ground》という写真の星雲になった。

スケジュール

2025年5月17日(土)〜2025年6月1日(日)

開館情報

時間
13:0019:00
休館日
月曜日

オープニングパーティー 2025年5月17日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://mem-inc.jp/2025/05/01/fugo2025/
会場MEM
http://mem-inc.jp/
住所〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F
アクセスJR山手線・埼京線恵比寿駅東口より徒歩6分、東京メトロ日比谷線恵比寿駅1番出口より徒歩7分
電話番号03-6459-3205
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