KANA KAWANISHI GALLERYKANA KAWANISHI GALLERYは、2026年3月21日(土)よりHouxo Que(ホウコォ ・ キュウ)個展『不気味で美しい労働』を開催いたします。
Houxo Queは、グラフィティを起点に壁画を制作するストリートアーティストとして活動を開始。近年では、原初のディスプレイである水面が光を受けるインスタレーションや、鉄パイプを貫通させたまま点滅するディスプレイなど、ペインティングをマルチに発展させる作品を展開するアーティストとして知られています。本展では、Houxo Queの新作絵画作品を発表いたします。
壁に固定された iPhoneのインカメラは鑑賞者を認識し、画面の音声がその存在を読み上げます。空間には複数の端末が並び、それぞれ異なる言語で、画面上の情報を読み上げるアクセシビリティ機能である VoiceOver が発話します。多言語の声が重なり合うことで、空間には複数の声が交錯する環境が生まれます。透明なアクリルメディウムによる指の痕跡が重ねられたスマートフォンの画面は光を歪ませ、鑑賞者の像を揺らがせます。
スマートフォンは、日常のなかで絶えず触れられ、働き続けている装置でもあります。通知を受け取り、顔を認識し、声を発し、視線に応答する——それはある種の労働を担う身体のようにも見えます。そうした身体は、希少鉱物の採掘、複雑な製造工程、遠くのサーバー群、そして多くの人間の労働によって形づくられています。資源の一部は紛争地域と地理的に結びつき、半導体をはじめとする電子技術は民生と軍事のあいだを往復するデュアルユースの歴史を持っています。
Queは、装置の働きと人間の身体、そしてそれを取り巻く社会や歴史の層が交錯する地点として、iPhoneという装置に注目しています。そこには、現代の文化や技術環境の輪郭が、ひとつの形として現れています。装置、画面、身体のあいだで「見る主体」が往復する状況のなかで、iPhoneという視覚装置そのものが支持体として立ち上がります。
本展では、そうした複数の層を抱えた装置を「絵画の形式」の中に引き寄せる試みとして制作された、HouxoQueの新作をご高覧ください。
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