四季彩舎岡本順子の個展「element」を開催いたします。
本展では、作家にとって重要なモチーフである「雲」と「聖域」を中心に制作された新作を発表いたします。岡本にとって雲は、果てしなく続く自由の象徴であり、扉やトンネルは未知の世界へと導く入口として捉えられています。また「聖域」は、神々が宿る清らかな場所として、どこまでも美しい風が吹く理想郷=まほろばのイメージと重なります。こうしたイメージは、作品を生み出すうえでの根幹をなす要素となっています。
1972年神奈川県生まれの岡本は、物質の重量感や風化による時間の蓄積を主題に、独自の絵画表現を展開してきました。漆喰を幾層にも塗り重ね、染料を繰り返し浸透させることで、画面には時間の痕跡が刻み込まれていきます。ひび割れや滲み、剥離といった現象を内包したマチエールは、物質としての強い存在感を立ち上げると同時に、不可視である時間の流れを可視化します。
本展タイトル「element」は、こうした作品を構成する根源的な要素――物質、時間、記憶、そしてイメージ――を指し示すものです。岡本の作品に通底する「見えないものを感じ取る力」が、重層的な画面を通して静かに呼び起こされることでしょう。
どうぞご高覧ください。
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