大久保 薫「雨」2024年制作・キャンバスに油彩・41 x 41 cm © Kaoru Okubo, Courtesy of TATSURO KISHIMOTO

大久保薫 「あたたかいへや」

TATSURO KISHIMOTO
明日まで

アーティスト

大久保薫
この度、TATSURO KISHIMOTO では大久保薫 個展「あたたかいへや」を開催致します。本展は作家にとって約4年半ぶ りの個展となります。

大久保は学生時代から一貫して「肉体」をモチーフに絵画制作を続けています。その「肉体」は主に男性の肉体で、大久保 にとって一番身近でリアルなものであり自然な形で描けるものです。

これまでの制作発表の場においては、威圧的なポーズをとる権力者の男性像や演劇的なポーズをする紳士像などが描かれて きました。それらは大久保にとって、嫌悪感や恐怖の対象であるとともに、一方で理想の姿でもありました。絵画に昇華させ ていく過程では、肉体への抵抗感や湧き出る情感を除き、より肉体を客観視するためのさまざまな手法が試みられてきました。 例えば、長い柄の先に絵筆を取り付けわざと描きにくくする手法、おびただしい数のドローイングを経て腕が覚えるほどに熟 練した図案をキャンバスにトレースする手法、大型サイズのキャンバスで一度習作し自らのエネルギーや情感を発散させた後 に小さいキャンバスに描く手法。また、人物像の前にフェンスや鎖を描くことで表現的にモチーフを遠ざけることもありました。 これらはすべて「肉体」に対する自らの主観を排除しようと試みてきた抵抗の道筋でした。

今回の個展「あたたかいへや」では、脂肪がついて背中の曲がった中年の男性像が描かれます。それはモデルのように人に 見せるための肉体とは正反対で、時の経過を受け入れた肉体です。大衆浴場でよく見る湯の中で伸び切った肉体、サウナと水 風呂を何度も反復し弛緩していく肉体、、、このようなリラックスした肉体に着想を得ています。しかしながら、リラックスし た状態は、一方で疲れ切ってうなだれている状況でもあり表裏一体です。「どんな立場や身分でも銭湯では皆裸になるから平等 で開放的な空間に見えるが、実際は塀に囲まれた限定的な見せかけの空間」と回想する大久保は、「あたたかいへや」というタ イトルに両義的な意味を暗に含ませます。

そして今回の制作過程では、これまでのように自身の主観を排除するような手法は用いず、直にキャンバスに向かいます。 大久保は、これまで恐怖や嫌悪の対象でありつつ理想でもあった肉体が、年齢を経て自分に “ 近しい ” ものになったと述べており、 このような心境の変化も制作手法に影響を与える一因となっています。

“肉体とは何か” 肉体を持って生まれた私たちに生きている限りつきまとうこの根源的な問いに作家は立ち向かい続けてい るのかもしれません。幾重にも塗り重ねられた細やかな線描と粗さの均衡、大胆な筆致と静穏な筆致。大久保による肉体の表 現をぜひ画面間近で堪能いただけたら幸いです。

スケジュール

開催中

2025年1月18日(土)〜2025年2月15日(土)明日まで

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
日曜日、月曜日、火曜日、祝日

オープニングパーティー 2025年1月18日(土) 18:00 から 19:00 まで

入場料無料
会場TATSURO KISHIMOTO
https://www.instagram.com/tatsurokishimoto/
住所〒135-0007 東京都江東区新大橋2-14-2 1F
アクセス都営新宿線・大江戸線森下駅A2出口より徒歩5分、JR総武線両国駅より徒歩15分
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