舟越は1951年岩手県に生まれ、人間という存在を多様に形象した彫像の数々によって彫刻史に消しえぬ足跡を残し、2024年3月に72歳で帰天しました。東京造形大学と東京藝術大学大学院で彫刻を学んだのち、抽象的・概念的表現が席巻していた1980年代の美術界に具象の人物像、それも木彫彩色の半身像に大理石の目を嵌め込むという古典的技法によって登場した舟越の作品は、素朴な肖像彫刻であるのに、時代の精神を具有した、既視感とはおよそ無縁のものでした。颯爽としながらも孤愁を秘めた佇まい、凛とした静謐さ、繊細な知性を滲ませる内省的で遠い眼差し。――人間という存在が抱える普遍性を瑞々しく帯びた、叙情的で中性的な男女の像は、彫刻表現の新地平を軽やかにひらき、舟越は国内のみならずヴェネツィア・ビエンナーレ(1988年)やドクメンタ(1992年)など主要な国際舞台でも早くから活躍しました。2026年は、台北のKuandu Museum of Fine Artsで2月まで個展が開催された他、『舟越桂全彫刻作品集』(青幻舎)の刊行を控えています。また、本展の図録兼書籍「舟越桂 彫刻とドローイング」(舟越桂「見えない姿、新しい形」、公開対談「大江健三郎×舟越桂」再録/求龍堂)が当画廊および全国の書店で発売されます。
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