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角田和夫 「シベリアへの旅路」
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角田和夫 「シベリアへの旅路」
IG Photo Gallery
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アーティスト
角田和夫
IG Photo Galleryでは2025年9月2日(火)より、角田和夫展「シベリアへの旅路」を開催いたします。
本展は、角田和夫が、第二次世界大戦後にシベリアに抑留された父の足跡を辿り、忘れてはならない歴史的事実の継承を試みるものです。
角田和夫は1980年代後半から出身地の高知県を拠点に写真作家としての活動を続けてきました。職場でのいじめに遭ったことをきっかけに発症した神経症の治療と並行して始めた写真撮影は、角田にとって自己回復のためのセラピーでもありました。
写真は角田の中にあった表現意欲を目覚めさせ、夜の風景に自身のうつろな心象を重ね、赤外線フィルムで撮影した「満月の夜」(1988年、コダック・フォトサロンほか)で写真作家としてデビューします。歓楽街の夜を同じく赤外線フィルムで撮影した「土佐深夜日記」(1989年、銀座ニコンサロン)は、ゲイバーに勤務していた叔父の協力で、当時の地方都市におけるゲイ・カルチャーの一端を記録した貴重な作品です。2022年には、「満月の夜」と「土佐深夜日記」、コロナ禍に撮影された「続土佐深夜日記」と合わせて高知県立美術館で個展「角田和夫 土佐深夜日記─うつせみ」が開かれました。
海外での撮影にも取り組み、2002年に「ニューヨーク地下鉄ストーリー」で第11回林忠彦賞を受賞。ほかに「マニラ深夜日記」(2016年、ソニーイメージングギャラリー)、敬愛する画家、ゴッホの終焉の地を訪ねた「ゴッホへの旅」などの作品があります。
このたび展示する「シベリアへの旅」は、角田の父が遺した手記が起点となって始まったプロジェクトです。角田は父がシベリアに抑留されていたことは知っていましたが、具体的な話を聞く機会はなかったと言います。父が67歳で亡くなると、戦争中の旧満州での軍隊生活、シベリアに抑留された日々をつづった手記が発見されました。
20歳で満州に渡り、30歳でようやく帰郷した父は、20代の貴重な10年をまるまる戦争で失ったことになります。原稿用紙200枚以上にものぼる手記のうち、約三分の二を占めるシベリアでの抑留生活の描写に興味を持った角田は、父の死後12年経った1996年、旧満州からシベリアへと父の手記に書かれた地名を探して撮影を始めました。2002年まで数度に及ぶ撮影では、現地の人々の温かな支援を受け、戦後、日本人が訪れる機会がなかった場所にまで足を踏み入れています。とくに当時軍事産業が集中し、立ち入りが厳しく制限されていた「キズネール」での撮影は日本人写真家としておそらく初めてのことでした。
写真には角田の父が過酷な抑留生活を送っていた場所、彼が見たかも知れない風景が写っています。それらの写真は率直にいってとても美しい風景です。戦争という要素を抜きに見ることができれば、そこには厳しいながらも人や生きものが生きることを許す自然が、ただ黙って存在しています。
写真には現地で出会った人たちのポートレートも含まれ、角田はシベリアでの取材撮影に現地の人々が協力的だったことに感謝を述べています。写真に写った老若男女の表情からは、戦争が過去になったこと、平和な時代が到来したことを感じさせます。しかし、それから23年経った現在、ロシアはウクライナとの戦争状態にあります。
第二次世界大戦が終わってから今年は80年の節目です。角田がシベリアでの撮影を終えてからも長い年月が経ちました。角田和夫が父の記憶を辿って撮影したシベリアの風景は、23年前とは意味が変わってきています。初めて作品を発表した当時、戦争は過去のものでした。しかし現在、これらの写真を見るとき、その平和が破られたことを抜きにして見ることはできません。「シベリアへの旅路」は戦争とは?平和とは?という重い問いを私たちに投げかけます。
なお、9月6日(土)には展覧会場でのスライドショー、トークセッションを予定しています。スライドショーでは、角田の父が生前に吹き込んだ録音テープの一部を公開する予定です。
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スケジュール
2025年9月2日(火)〜2025年9月20日(土)
開館情報
時間
11:00 〜 18:30
休館日
日曜日、月曜日、祝日
入場料
無料
展覧会URL
https://www.igpg.jp/exhibition/sumida.html
会場
IG Photo Gallery
https://www.igpg.jp/
住所
〒104-0036 東京都中央区銀座3-13-17 辰中ビル302 石田法律事務所内
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アクセス
東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅A7出口より徒歩3分
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