この度NANZUKAは、渋谷アクシュ(渋谷区渋谷2-17-1)3Fに新たにオープンしたギャラリー「NANZUKA」において、田名網敬一(1936–2024)の個展「DO NOT BOMB」を開催いたします。当スペースのこけら落としとなる本展では、田名網が生涯にわたり描き続けた「戦争の記憶」を軸に、1960年代の初期作品から、2024年に逝去する直前まで制作されていた未発表作品までを紹介します。
2024年、国立新美術館で開催された回顧展の準備期間中、田名網は《DO NOT BOMB》と題した新作を制作しました。1960年代後半にベトナム反戦をテーマとして発表した《NO MORE WAR》シリーズの精神を現代へと接続する本作では、自身の戦争体験を象徴する金魚のモチーフが爆弾へと姿を変え、「DO NOT BOMB」の文字が画面に大きく掲げられています。しかし、その金魚はどこか愛らしく、爆発で飛び散る破片は薔薇の花弁として描かれています。田名網は恐怖をそのまま恐怖として描くのではなく、鮮烈な色彩やユーモアへと変換することで、暴力の記憶を創造へと昇華してきました。本作は、その創作哲学を象徴する晩年の代表作と言えるでしょう。
本展では、この《DO NOT BOMB》を中心に、未発表の新作ペインティングをはじめ、1960〜70年代に制作されたシルクスクリーン、コラージュ、ペインティング、アニメーション作品、さらに17世紀の解剖学者フレデリック・ライシュの『Thesaurus Anatomicus』に着想を得て田名網が描いた絵画《臓器の劇場》(1987)、生命の営みを象徴的に表した木彫による箱庭作品シリーズ、コロナ禍以降に取り組んだ《ピカソの悦楽》シリーズ(2020-2024)、近年の立体・映像作品まで、多彩な作品群を一堂に紹介します。
田名網の作品は、個人的な記憶を描きながらも、それは同時に戦後日本の社会や文化の記憶を映し出しています。アメリカンコミック、広告、映画、漫画、特撮といった戦後文化のイメージと、幼少期の戦争体験が一つの画面で交錯することで、田名網は戦後日本という時代そのものを視覚化してきました。 世界各地で戦争が続く現代において、《DO NOT BOMB》というシンプルな言葉は、田名網が生涯を通して発し続けた静かで力強いメッセージとして響きます。
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