宮森敬子は、和紙や木炭、ガラスを用い、時間と記憶の層を探る作品を国内外で発表してきました。本展「Time Between Us」では、作家の代表作である《TIME》をはじめ、《No matter what, I am still a part of it》( それでも、私は世界の一部としてある )、そして極薄の和紙による新シリーズを中心に展示します。 《TIME》(2021‒present) は、自家製の木炭で日々樹皮の拓本をとり、その一日一日を小さなガラス箱に封じる継続的なプロジェクトです。日々の時間を積み重ね、その一部を他者が所有することで、個人の記憶と他者の時間が静かに交差していきます。宮森の祖母はハワイ生まれの日系二世であり、作家自身もアメリカと日本のあいだに家族を持ちながら制作を続けています。海を隔てた二つの国の歴史と現在という背景のもと、本展では 1997 年前後のドローイングやエッチング、そして新作ドローイングも展示されます。異なる時代に刻まれた線が同じ空間に並ぶことで、制作の時間そのものが層として立ち上がります。 世界では不安定な状況が続き、国と国の関係も揺れ動いています。本展はそうした現実から目を背けるのではなく、その影を含んだまま、なお私たちが世界の一部として在り続けることを静かに問いかけます。「Between Us」とは距離であると同時に、つながりでもあります。本展は、その「あいだ」に立ち、自身と世界との関係をあらためて見つめる場となるでしょう。
まだコメントはありません