ときわ湖水ホール粟津潔(1929‐2009)は、日本を代表するグラフィックデザイナーのひとりとして知られています。宇部市が1961年から開催する野外彫刻展「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」のポスターデザインを、1973年から2005年まで担当し、本市にはB1からB2サイズのポスターが多数保管されています。本展は、この野外彫刻展ポスターを通じて、粟津ポスターの特長、ユニークなデザインが生まれた時代背景、美しくカラフルな仕上がりを支えた印刷技術等について紹介します。
“異種交配が新しい文化をつくる”(『デザイン夜講』)とは、1974年の粟津潔の言葉です。粟津潔のポスターには、指紋や印影、亀、牛など一見互いに関連性のない様々なモチーフが散りばめられています。そこには、情報化する社会や環境問題など、社会的な問題に対する粟津自身の意識が投影されており、 “彫刻”や“野外空間”を思わせるモチーフとともに、一枚のポスターのなかで、イメージとイメージが出合い、ジャンルを超えた“異種交配”が起きているのです。ポスターはまた街頭に持ち出され、人の目に触れることで、更なる“異種交配”を起こします。それは野外に持ち出された彫刻の在り方にも似ています。宇部市の野外彫刻展のイメージは、粟津ポスターとともに作り出されていったのかもしれません。
粟津潔は、“印刷”と“量産”をポジティブに捉え、複製も“真実”であると考えたデザイナーでもありました。会場では、粟津ポスターを手に取って間近に鑑賞していただくコーナーも設置します。野外彫刻展のポスターに、様々なイメージを加えることで、好奇心あふれる世界観を作り上げていった粟津潔のデザインの魅力に触れていただく機会となれば幸いです。
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