終了した展覧会・イベントです

「クリムト・アライブ 東京展」

日本橋三井ホール
終了しました
魅惑的なストーリー性と革新的な展示方法で高く評価されている没入型展覧会「ゴッホ・アライブ」、「モネ&フレンズ・アライブ」などを手掛けるオーストラリアの企画会社、Grande Experiences(グランデ・エクスペリエンセズ)が企画・制作した待望の新作。グランデ・エクスペリエンセズは、世界6大陸200都市以上で280回以上の展示会を開催し、2500万人を超える人々を魅了してきました。

本展は真っ暗な高さ7メートルの大空間に、巨大スクリーンを設置。光、色、音、香りのなかで、『接吻』『ユディト』『死と生』をはじめとするクリムトの傑作の数々が、会場全体に次々と映し出されていきます。映像とともに流れるクラシック音楽に身を委ねながら、クリムトの華やかな装飾性と官能美に心奪われる体験をお楽しみいただけます。展示室はすべて写真・動画の撮影が可能。自分だけの華やかなクリムトの世界をカメラにおさめることができます。

スケジュール

2025年7月18日(金)〜2025年10月5日(日)

開館情報

時間
10:0018:00
入場料一般 3000円、大学生・高校生 2000円、中学生・小学生 1500円(日時指定券)
展覧会URLhttps://klimtalive.jp/tokyo/index.html
会場日本橋三井ホール
https://nihonbashi-hall.jp/index.html
住所〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1 4F-5F
アクセス東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅A6出口出口より直結、JR総武線・横須賀線新日本橋駅より地下道で直結
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Ark

謎の多い(らしい)クリムトさん、この展示をみたらどう思われるだろう?あり?なし? 今年はクリムト年なのかしら? このイマーシブ展示会「クリムト・アライブ」(日本橋三井ホール)の他にも、 クリムトさんの映画、アート・オン・スクリーン「クリムト THE KISS」が上映されている。 私にとってはクリムトは身近なアーティストで、 年に数回行く豊田市美術館といえば「オイゲニア・プリマフェージの肖像」があるところ。 2019年に行われた巡回展で購入した、クリムトの6歳の姪がモデルの「ヘレーネ・クリムトの肖像」を毎日見続けている。 クリムトといえば、接吻を代表するキラッキラが代名詞、だけれども、 私はヘレーネの肖像画のような落ち着いたトーンや、正方形のキャンバスに描かれた風景画など、 キラキラしていないクリムトが好み。 この夏、日本橋三井ホールで「クリムト・アライブ」があると知った時、 早々に7月8月平日限定の2,500円のチケットを予約。 イマーシブ展覧会は今までいくつか体験したことがあった。 角川(モネ、その他)、bunkamura(ミュシャ)、寺田倉庫(浮世絵)など、いずれも大きめの会場で、 日本橋三井ホールで鑑賞したことはなく、気になっていた。 イマーシブ展覧会については賛否ある。 実際の美術作品がないことや、エンジニアの感性に振りすぎていて、鑑賞者独自の解釈ができないこと。 一方で、美術鑑賞にハードルを感じている人には、エンタメを入り口として興味を促すことができる、などなど。どちらの意見もわからなくはない。 今までみたコンテンツは、ストーリー展開や会場の構成が面白く、本物の絵画鑑賞とは違うものとして楽しめていた。 が、このクリムトさんは...? 今回の「クリムト・アライブ」鑑賞までに、クリムトの図書や西洋美術史の本で、クリムトについて振り返り、 映画「クリムト THE KISS」では、東京ステーションギャラリー館長の冨田章さんのトークがある日を選んで行った。 クリムトは、オーストリア・ウィーンの貧しい家庭に生まれならがも、アカデミックな美術教育を受けられ、 充分な技術を身につけ、生まれながらのセンスと融合して唯一無二の存在になった。 産業革命の反発でウィリアムモリスが牽引した、アーツアンドクラフツ運動の影響も受け、建築や家具などの意匠に影響を与え、実用的な空間を美しくすることに価値を生み出した。 多くの女性の肖像画を描いているが、モデルの女性とはモデル以上の関係もあり、生涯未婚だったものの婚外子も数多くいるらしい。 そんな奔放なクリムトにも、知的な会話をできる女性がいた。 姉妹でファッションデザイナーをしていたエミーリエ・フレーゲ。女性が今のように職業につけなかった時代にクリエイティブで勝負していた人だ。ふたりは関係を秘密にしていたらしい。 クリムトとシーレとの関係、同時代の作家から受けた影響、ジャポニズムなど、 本では平面的に捉えていたものを、映画では本ではみることができない細部などを映像でみれ、奥行きを感じ、より理解をすることができた。 そんな事前準備をして迎えたこの展覧会、私は予習をしすぎて、期待しすぎていたのかもしれない。 本会場に入るまでに作品についての解説と、クリムトの言葉のパネル展示がある。 大きなスペースに言葉があるのは、本展示への期待を高められた。 いざ、会場内へ→ ん? ここだけ?  いろんなセクションの空間があるのかと思いきや、イマーシブはひとつの大きな部屋だけ* ここでもクリムトの言葉が出てくるけれど、アイレベルが合わない高い位置にあって、見上げ続けるのはなかなかつらい。数個の椅子はあるものの、他のイマーシブとは異なり、寝そべってみる仕様にもなっていない。 とはいえ、寝そべったら、あの位置にある文字はもっと見上げなくてはならなくなる。 クリムトの活動したウイーンの様子や、ベートーヴェン・フリーズの壁画やウイーン大学の天井画など、持ち運ぶことができないものは、本では小さくしかみられないので、大きくみることができて見応えがある。 このあたりはイマーシブのいいところだと感じたものの、段々と絵画に入ってくると違和感を感じ始める。 クリムトと言えばの、たくさんの女性の肖像画が出てくるけれど、大きすぎるせいか、文脈と切り離されているせいか入り込めない。メメント・モリについても、同じく入り込めない。 楽しみにしていた風景画は、風がなびいたり、水面がきらめいたりするエフェクトが入っている。 イマーシブだからその演出はわからなくはない、 けれど、クリムトの風景画には私は抜群に風を感じるから、違和感があり、 もしこれをクリムトがみたら受け入れられなかったのではないかと想像した。 *(イマーシブ空間の横には独立したフォトブースがある) 展覧会をみる際、意識的にも無意識的にも、自分がどのくらい作家やその背景を知っているのかの答え合わせをしている感は否めない。そして、勝手にこうだろうと想像して、期待と違うと否定してしまうこともある。 が、そもそも文脈とは切り離されているものを、キュレーターが懸命に考えて構成しているものだから、その意図を汲み取ろうと思考をめぐらせるのがまた楽しかったりする。 イマーシブ展覧会については賛否ある。 私は今まで積極的な肯定派ではなかったけれど、受け入れてきたが、今回は疑問に思ってしまった。 それはきっと私はキラキラじゃないクリムトが好きだからで、もしキラキラ派だったら違う感想を持ったと思う。