gallery fugallery fu では、7月8日(水)から 7月19日(日)まで、「海老塚耕一|境界の標識―元あった場所について」を開催します。
海老塚耕一は長年にわたり、私たちが普段意識することなく通り過ぎてしまう境界や、その向こう側にある事柄について問い続けてきました。
海老塚は本展について、「現実、あるいは歴史から排除された領域について考えている。境界は確かに存在したが見えない。そのとき経験は排除した側の陰に隠されてしまう。豊かな領域を取り戻し(リクレイムし)、かたちにしたい」と語ります。
会場に並ぶ作品には一本の鉄の棒が添えられています。その棒は途中で継がれており、作品を追うごとに継ぎ目の位置が少しずつ変化していきます。わずかな違いですが、その変化は見る者に時間や距離、あるいは何かを区切るための基準を連想させます。
私たちは世界を理解するために、知らず知らずのうちにさまざまな線を引いています。しかし、その線は本来揺らぎ続けるものであり、決して固定されたものではありません。歴史のなかで消され、引き直され、意味を変えながら存在してきました。海老塚の作品に現れる線もまた、一度引かれて終わるものではなく、何度も描き直されながら揺れ動いています。
そして境界が生まれるとき、そこからこぼれ落ちてしまうものも存在します。歴史のなかで語られなかったこと、忘れられてしまった場所、見えなくなった経験。海老塚はそうした領域を単に指し示すのではなく、再び私たちの前へと呼び戻そうとしています。
目の前の作品と向き合い、自身の記憶や経験を重ねながら、当たり前だと思っていた境界を少し疑ってみる。そのとき、それぞれの内側に異なる風景や物語が立ち現れてくることでしょう。
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