エステルオカダエステルオカダアートギャラリーでは、2026年4月11日(土)から4月26日(日)まで、師井公二による個展「Rêve」を開催いたします。1952年山口県に生まれ、フランスに渡り制作を続けてきた師井公二は、版画制作を出発点に、長年にわたり絵画表現を探求してきました。
本展タイトル「Rêve」(夢)は、師井の作品に通底する、捉えがたくも確かに感覚に残るイメージの在り方を示しています。幾層にも重ねられた色彩と線は、通過の痕跡として画面に現れ、像を明確に定着させることなく、触れることのできない気配として漂わせます。それは、見るというよりも、むしろ静かに感じ取られるイメージです。
反復される線や、滲むような色の重なりは、時間の層を内包しながら画面に微細な揺らぎをもたらし、像を固定することなく、常に変化し続ける状態へと開いていきます。そこでは、イメージは鑑賞者の感覚の中で立ち上がり、やがてほどけていきます。また、画面における余白の扱いは、像を囲い込むための空間ではなく、気配を受け止める場として機能しています。その静けさは、日本的な美意識にも通じる間(ま)の感覚を想起させ、描かれたものと描かれないものとの関係の中に、繊細な緊張を生み出します。フランスでの制作を通じて培われた感性は、シャンパーニュの泡のように立ち現れては消えていく、瞬間的で繊細な現象とも響き合います。師井は、そうした束の間のきらめきをすくい上げ、絵画として定着させてきました。
本展では、「Rêve」と題されたシリーズを中心に、師井が一貫して追い求めてきた、夢のように曖昧でありながら確かに触れうる感覚の領域を提示します。静謐な緊張を湛えた画面は、見る者を穏やかに引き込み、その内側にとどめます。この機会にぜひ、師井公二が描き出す、気配に満ちた絵画の世界をご高覧ください。
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