KYOKKYOKでは中本草を迎え、展覧会「レーズン・エクササイズ」を開催いたします。中本は自身の制作行為を「自分の状態や感覚を確かめるためのもの」と語り、様々なメディアを用いて制作を行うアーティストです。現在は東京造形大学絵画絵画専攻領域の助手を勤めています。
展覧会タイトルの「レーズン・エクササイズ」とは、一粒のレーズンを10分間かけて観察しながら食べることで、普段意識していない感覚や感情を呼び起こすというマインドフルネスの手法を指します。本展ではこの言葉を一つのキーワードとして掲げ、「自分の身体の感覚を自覚するための装置」としての展覧会空間をKYOKに展開します。
出展作品のひとつ《景色のリズム 足踏みのリズム》では、中本が両手の指で瞼のように開閉する隙間をつくり、その間から自身が訪れた様々な場所の風景を覗き見る映像が映し出されます。その映像の手前には、中本が足踏みを繰り返す映像モニターが設置され、鑑賞者はその二つの映像のあいだに身を置くことで、中本の身体と自身の身体が重なり合うような感覚を得ることができます。物理的な移動を伴わずとも、身体感覚や意識が“ここではないどこか”に浮遊するような体験が生まれるでしょう。
中本は、「私が私である」という実感は内外で生じるさまざまな事象によって揺らぎ、自分と他者の境界は固定されず、常に変化していると言います。鑑賞者にも作品を通して自身の揺らぎを感知し、その“揺らいでいる感覚”が確かに存在することを感じ取れるような時間が生まれて欲しいという思いがあるとのことです。なお11月9日(日)には「レーズンを食べてみる時間」と題した参加型のイベントも開催いたします。
この機会にぜひ、中本草とその作品を通じて、来場される皆さま自身の“現在地点”を見つめる契機としていただければ幸いです。
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