三菱一号館美術館フランス近代美術の風景画は、自然の風景を古典的な表現で描き出す歴史風景画と決別するところから始まります。カミーユ・コローは自然を忠実に観察しつつ、戸外スケッチを行い、現実の風景から理想的な情景を抒情的に描き出しました。ギュスターヴ・クールベは理想化を拒否し、あるがままの自然を荒々しいタッチで描き、目に見えるものを描くレアリスム(写実主義)を推し進めました。こうした流れを受けてクロード・モネ、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレーといった印象派のグループの画家が登場し、彼らは筆致を並べる印象派の技法を用いて、パリ近郊の風景や日常的な街路といった新しい風景画を描き出します。モネは師であるウジェーヌ・ブーダンの描く雲や海の表現に影響を受けています。
また、新印象主義の画家であるポール・シニャックは、ジョルジュ・スーラの点描主義を推し進めて広める役割を果たしましたが、筆致を並べる印象派の技法を更に突き詰めていきました。そしてアンリ・マティス、アルベール・マルケやアンドレ・ドランは、形態を単純化しつつ色彩を独特の感覚で配置する絵画を制作し、それぞれのやり方でポスト印象派からその先へ展開させていきます。フランス北部や南部、そしてスイスまで、各地へ滞在して制作した画家たちの風景画の変遷を絵画10点、版画1点からご覧いただきます。
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