本作品は、ウッドが自身のスタジオのテレビでテニスの試合を見ながら撮影した写真がきっかけとなって制作されました。作家はこの作品を自身の「abstract color study」(抽象化の中における色彩のあり方の追求)であると語っています。本作品でウッドが関心を寄せているのはテレビ画面に映るテニスコートを再現することではなく、いかにして絵画の平面性、全体性から生まれる可能性を最大限に引き出すかということです。その試みの中で画面に存在するいくつかの要素は意図的に削ぎ落とされ、逆に特定のイメージは何度も反復して描かれています。また色彩のバリエーションをあえて限定し大胆な色づかいをすることによって、抽象化された画面の中で色彩の持ちうる役割や、色と色の融合の仕方を追求しています。テニスコートはウッドにとって常に新たな発見を与え、何度でも繰り返し描きたいという気持ちを掻き立てるモチーフであり、それは彼がアーティストとして絵画に向き合い、試行錯誤を重ねながら自身の実践を深めていくフィールドの一つなのです。
まだコメントはありません