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林於思 「如是我聞」

東京画廊+BTAP
終了しました

アーティスト

林於思
東京画廊+BTAPは2025年7月5日より、中国の作家林於思(リン・ユーシ)の日本初個展「如是我聞」(にょぜがもん)を開催いたします。

林於思は1978年中国広東省生まれ。広州美術学院中国画科を卒業し、幼少より書と絵に親しみ、伝統文化の深い影響を受けて育ちました。写意、工筆、白描といった中国画の多彩な技法を自在に操り、山水・花鳥・人物など多様なモチーフを手がけます。学院派出身の新世代アーティストとして、伝統・学院・実験という中国水墨の三大体系を横断し、「新水墨」としての表現の可能性を独自に切り拓いています。

今回の展覧会《如是我聞》は、作家自身の成長と創作の軌跡をたどる回顧的な展示です。タイトルは仏教の経典から、「このように私は聞いた」という意味を持ち、林が自らの人生や芸術を通して世界を見つめ直す姿勢を象徴しています。通信技術がまだ発達していなかった時代に育った林は、子どもの頃、多くの情報は「耳から」得ていました。大人から語られる「聞いた話」や伝説が、視覚イメージの源泉となり、彼の創作に大きな影響を与えています。林は、そのような記憶をもとに、目に見えない幻想的な物語を繊細な筆致で描き出し、古今の技法を自身の手で実践しながら、芸術の本質を問い続けます。彼にとって、虚と実の境界は人生の一部であり、芸術とは、日々の探究と実験の積み重ねの中にこそあるべきものなのです。

本展では三つのシリーズを通じて、林の水墨表現と考えを紹介します:

◆ 幻友(Tulpa/意図的に創造された想像上の仲間)
林の代表作とも言える「新水墨」シリーズであり、20年以上にわたり描き続けられてきた作品群です。緻密な筆線と滲みの重なりによって、幻想的でありながらリアルな自然の風景が描かれます。画面の中央に登場する人物や動物たちは、背景の山や光と呼応し、静かに対話を交わしているようです。伝統技法への敬意とともに、現代的な視点を加えることで、水墨の新たな表現を切り拓いています。さらに、人と自然の共生というテーマや、人間が本能的に求める「仲間」への思いも滲みます。

◆ 線人(Drawing)
2016年より毎日一枚描き続けている白描画シリーズ。水墨は「時間をかける作業」であるのに対し、白描は「一筆で描く即興性」を持ちます。シンプルで軽やかな線によって、妖怪や仙人といった想像上の人物が本当にいるかのようにユーモラスに描かれ、まるで作家自身の空想世界を覗くような感覚を呼び起こします。これは作家としての習慣であり、同時に、日々の心の旅でもあります。

◆ 水滸
中国の古典文学『水滸伝』をモチーフに、林の熟練の技法と遊び心で再現したシリーズです。おなじみの英雄たちが、伝統的な筆墨による描写と現代的で戯画的な構成によって、斬新な表情を見せます。古典的な題材に現代的な表現を注入し、独特の創作スタイルと文化解釈は、観る者に新鮮な驚きを与えます。

林於思の作品は、宣紙の吸収性、毛筆の柔軟性、水墨の流動性といった素材の特性を最大限に活かし、多様な技法と豊かな想像力によって、時間や言語を超えた「新水墨」的な表現を構築しています。伝統に根ざしながらも、新世界との対話を志向するその姿勢は、今まさに変化し続ける東アジア美術の新たな潮流を体現しています。

スケジュール

2025年7月5日(土)〜2025年8月9日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.tokyo-gallery.com/exhibitions/6696.html
会場東京画廊+BTAP
http://www.tokyo-gallery.com/
住所〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 7F
アクセスJR新橋駅銀座口より徒歩4分、東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A3出口より徒歩5分、都営地下鉄大江戸線・ゆりかもめ汐留駅5番出口より徒歩5分
電話番号03-3571-1808
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