2026年6月20日(土)より7月18日(土)まで、MISA SHIN GALLERYでは初となる伊波リンダの個展「Design of Okinawa」を開催いたします。本展では、同日に刊行される写真集『Design of Okinawa』の出版にあわせ、同写真集に収録された作品を中心に、およそ25点のプリント作品と新作のビデオを展示いたします。 伊波にとって「Design of Okinawa」というタイトルは、単に沖縄の色や形、図像的な特徴を指すものではありません。それは「デザインされている沖縄」と「沖縄のデザイン」という二つの意味を含み、形態や構成だけでなく、その背景にある関係性、矛盾、境界、記憶をも含み込む言葉です。伊波は、沖縄で絶えず起こり続ける出来事を前に、どこで区切りをつけ、どのように語るべきかを問いながら、レンズを通して考え続けてきました。 本展には、かつて《矛盾の中で眠る / Sleep in Contradiction》として発表されたシリーズも含まれます。伊波は、自身が親しんでいたアメリカの音楽雑誌を破り、その断片を砂地に埋めて撮影します。日常的に享受していたイメージは一度解体され、沖縄の風景のなかに置かれることで、別の意味を帯びて立ち上がります。この行為は、人にカメラを向けることができなかった時期に始まり、やがて基地をめぐる複雑な問題、戦争の記憶、そしてそこで生きる人々の日常が、分断や境界線によって単純に切り分けられないことを炙り出しながら、沖縄を撮影する実践へとつながっていきました。 沖縄県立博物館・美術館主任学芸員の亀海史明氏は、写真集に寄せた論考のなかで、伊波の作品を読み解く鍵として「図」と「地」の関係に注目しています。基地の外から見れば不自然に浮かび上がる風景も、基地の内側では日常として存在している。何が前景で、何が背景なのか。誰にとって何が「自然」であり、何が違和感として立ち現れるのか。伊波の写真は、その関係を固定するのではなく反転させながら、沖縄という場所に刻まれた複数の視点を浮かび上がらせます。 伊波は写真集のステートメントの末尾で、「境界線ではない沖縄の線を、自分は軸としていたい」と記しています。写真集から展示空間へと展開される本展では、ページをめくることで生まれていた視線の移動が、ギャラリー空間における新たな身体的経験へと置き換えられます。イメージの断片、風景の記憶が交差するなかで、私たちは伊波リンダの眼を通して、沖縄という風景の「デザイン」を見つめることになるでしょう。 6月20日(土)の写真集発売日および展覧会初日に、アーティストを迎えたオープニングレセプションを開催いたします。さらに、同日には伊波リンダとアートライターの白坂由里氏によるトークも予定されています。
[関連イベント] ギャラリートーク:伊波リンダ x 白坂由里(アートライター) 日時: 6月20(土)17:00~ ※事前予約不要
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