Moon Gallery 2 & 汐Café中国出身のアーティスト・劉志乾は、2025年より北海道を拠点に活動を展開している。「鞋鏡塑魂」というタイトルには、「鞋(スニーカー)」と「鏡(ゴーグル)」を媒介として、「塑(形成する)」ことによって新たな「魂」を宿すという意味が込められている。本展では、劉志乾によるスニーカーマスク作品を中心とした、日本初のスニーカーマスクアート展である。また、アジア地域においても同形式による本格的な展覧会として初の試みとなる。これまで類似の展示はアメリカおよびカナダでのみ企画されてきた。
本展で発表される作品群は、防毒マスクやスキーゴーグルをベース構造とし、廃棄されたスニーカーを解体・再構築することで制作されている。エクストリームスポーツ、ストリートグラフィティ、そしてスニーカーカルチャーという異なる文化的要素を融合させ、新たな視覚言語として提示する試みである。
彼は、本来防護機能を担う器具から実用性を取り除き、アートインスタレーションへと転換することで、消費社会において人々がトレンドに巻き込まれ、ブランドやスニーカーを通じて自己のアイデンティティを形成していく現象を表現している。また、廃棄物を素材として活用することで、アップサイクルとサステナビリティの理念を実践している。工業製品が持つ機能美とスニーカーデザインの美学を交差させながら、現代の消費文化や流行現象に対する問いを投げかけるものである。
作品はスニーカーとスキーゴーグルを解体し、再構築することで新たなマスクとして生まれ変わる。異なるスポーツカルチャーの象徴的要素が一つの造形の中で融合し、既存の用途や意味から解放された新たな存在として立ち現れるのである。本展は、素材の再生と文化の再構築を通じて、私たちが身につけるモノと自己認識との関係、そして消費社会における価値のあり方を問い直す場となる。
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