2024年1月に本展のティーザーとして3110NZ by LDH kitchenで開催された国内初の個展「No shoes. No phone. No service.」に続く二度目の展覧会となる本展は、ペインティング、インスタレーション、オンラインシステムと接続された装置と一体化した彫刻作品など、3つの異なるメディアを用いた新作を発表します。
MSCHFは、2019年より活動を開始し、人類の文化、政治、あるいは貨幣社会といったシステムの不合理性や滑稽さを暴き出し、 それを利用して精密に計算された介入システムを視覚表現を用いながら提示しているコンセプチュアル・アート・コレクティブです。これまで、NYのPerrotin (2022、2024年)、ソウルのDaelim Museum (2023年)での個展の他、ストックホルムのSpritmuseumにて開催された「Andy Warhol. Money on the Wall」(2024年)や、LAのJ. Paul Getty Museumにおけるグループ展「Blood: Medieval/Modern」(2024年)にも参加するなど、アメリカ国内外で幅広く作品を発表しています
本展のタイトルにもなっている「MATERIAL VALUE SCULPTURES」は、現代の高度資本主義社会におけるアートと物質的価値の関係を、ユーモアを交えて再定義するシリーズです。この作品では、奇妙なポーズを取った人間の彫刻が登場し、台座に内蔵されたデバイスを通じて原材料であるインジウムの市場価値をリアルタイムで追跡します。インジウムは、半導体産業や LED素材として需要が高まり続けるレアメタルの一種であり、価格変動が激しい特徴を持っています。インジウムの市場価値が作品の価格を上回った瞬間、装置がその融点まで温度を上げ、彫刻を溶かして自壊し始めるように仕組まれており、アートの本質的な価値と物質的価値の乖離をシニカルに指摘しています。シミュラークルとしてのアートの価値のみならず、物質的価値のインフレーションもまた、私たちが生きる高度資本主義社会においてはシミュレーション原理に基づくシステムの一部にすぎないという事実をこの儚い自己破壊によって露呈させているかのようです。
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