メイ・エンゲルギール 「UTSUROI HYMN」

両足院
5月29日開始

アーティスト

メイ・エンゲルギール
南北朝時代に京都の東⼭に建創し、室町から江⼾時代にかけては五⼭⽂学の最⾼峰としても認知されてきた両⾜院。寺院の歴史的アーカイブには多種多様な織物 ‒‒‒‒ 法要などの仏事や寺院空間の装飾に使われてきた布地、僧侶たちが纏う袈裟、さらに地域の⼈々から奉納された⽣地もあり、それぞれに禅寺としての格式とアイデンティティが宿っています。この度、その⼀部をテキスタイルアーティストのメイ・エンゲルギールに託し、新たなクリエーションとして提案する企画展「UTSUROI HYMN (うつろいの讃歌)」を5⽉29⽇から7⽉12⽇まで開催いたします。

エンゲルギールは“うつろい”という⽇本的な概念に着⽬し、無常観や記憶が静かに、またゆるやかに変容していく様⼦をテーマにしました。今回使⽤されたのは主に江⼾時代にまで遡ることができる古布で、かつては両⾜院における儀礼や信仰の中⼼的な場⾯で使われてきましたが、使命を終えたあと⻑らく眠っていたものです。繊細な⾊彩感覚と触覚的な構成の作⾵で知られる彼⼥は、素材となる布を裁断し、重ね合わせて再構成することでテキスタイルに抒情性を織り込み、深い思索へと導く試みを⾏なっています。布の断⽚は新たなコンポジションを⽣成しながら、⽣地⾃体の褪⾊や劣化、補修の痕跡などもさりげなく強調されています。意外性のある対⽐と穏やかな調和といった彼⼥特有の感覚は作品において過去と対峙しながらも現代的なリズムをもたらし、未来に向けたストーリーを紡ぎはじめるようです。

屏⾵は、使い込まれた袈裟の幾何学模様に絹や⿇のテクスチャーを重ね、⾊彩と構造が織りなす瞑想的な場をつくります。ほか、かつてはさまざまな⽤途の布が中に保存されていた“たとう紙”の形状をしたオブジェもあり、元は内包されていた古布を再構築して作品化することで、内から外へという素材の循環を⽰唆するコンセプチュアルなインスタレーションとして提案されます。

展⽰は両⾜院の⽅丈、および書院を使って展開されますが、おりしも書院の前庭には池のほとりに群⽣する“半夏⽣(はんげしょう)”の葉の⼀部が⽩くなり、その形状はこの時期だけに現れる観⾳様にも例えられる、幻想的な⾵景に変化します。“半夏⽣”はまた雑節のひとつでもあり、これは夏⾄から数え11⽇⽬(今年は7⽉2⽇)を指しています。移り変わる季節の中、作品は光や⾵など⾃然との対話も促し、展覧会はひとつの祈りの形であるかのようにも感じられてきます。

スケジュール

2026年5月29日(金)〜2026年7月12日(日)

開館情報

時間
12:0016:30
入場料一般 1000円、高校生以下 500円
会場両足院
https://ryosokuin.com/
住所〒605-0811 京都府京都市東山区大和小松町591
アクセス京阪線祇園四条駅1番出口より徒歩7分、阪急線京都河原町駅1B出口より徒歩10分
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