s+artsアーティスト
中山恵美子、三橋灯、増田有美、吉澤知美
s+arts(スプラスアーツ)より、中山恵美子、三橋灯、増田有美、吉澤知美によるグループ展「mamas」の開催をご 案 内申し上げます。この4名は、展覧会タイトルにもあるように、子育て真っ只中のママ達であり、時間的にも精神的にも限られる中、自身の作品制作に向き合い続けているアーティストです。特に幼少期の子供を持つ彼女達の1日は、多種多様のタスクを勇往邁進し、自分の時間を持つ間も無くあっという間に過ぎていきます。
子供の世話の他、家事や仕事などをこなしながら、日々の生活に追われている中で、作品制作を後回しにせざるを得ない時が多くあることでしょう。同じ状況下にいるディレクター陣を持つギャラリーとしてs+artsは 、それで も自身の制作を続けたいと願う彼女達を応援したいという想いで、本展を開催いたします。
中山恵美子は、和紙や包装紙に墨やアクリルとコラージュで作品を制作する作家です。日常の中に潜む非日常や、個人の思い入れによる物事の見え方の変化などをテーマにしています。独特のタッチと感性から表現される彼女の作品には、鑑賞者の予想に反した新たな観点で物事を捉えることが数多く見られます。二児を育てる中で、より毎日の大切さや尊さを感じるようになったという中山は、木々の緑が風に揺れる音を聞くだけで心も揺れたり、相手の目を見て話すとき、相手の目を通して自分が見えるという驚きを、改めて感じていると話します。絵本を読む機会も増え、表現方法にも影響するようになったという中山の、変化を題材に制作した新作群を本展にて発表いたします。
三橋灯は、下地処理を施さない綿布に絵の具を滲み込ませていくステイニングという技法で、主にアクリル絵の具を用いて制作しています。日常から生まれる曖昧な記憶のカケラや出逢ったモノを画面の中で複数重ね、写真表現のアレ・ブレ・ボケや映像の走査線などのノイズを引用することで違和感と親近感が画面に共存する作品を描いています。鉛筆によるデッサン作品も積極的に制作し、残像を取り入れたような作品の構築を目指しています。近年では、「そこに在るひかり」を中心のテーマに制作をしています。日常の中にあるモノを拾い集めたモチーフをもとに創造し、画面の上で再構築するという方法で制作された作品は、光の様々な表情が捉えられ、三橋の独創的な世界観が広がっています。
増田有美は、主に色鉛筆とアクリル絵具を使って制作しています。日常生活を送る中で浮かんでくるインスピレーションを頼りに、色鉛筆の淡いタッチを少しずつ丁寧に重ねながら、心に引っかかった様々なモチーフを組み合わせて描くことで、言葉では説明しにくい心の奥にある想いや、自然の中に潜む命の気配、見えない世界の構造を表現しようと試みています。植物や動物などの自然物と、身の回りの日用品、そして鹿やリボン、紙飛行機などの象徴的なモチーフを組み合わせて描くことで、存在が響きあう瞬間やつながりの感覚を探求しています。一見、ファンタジックで非日常的な世界が描かれる作品の中に現実のリアリティをほんのりと感じられる増田の作品は、描かれるモチーフと時間をかけてじっくりと自身の心と対話をしながら少しずつ重ねられた淡い色鉛筆のタッチが絶妙に交わり、心の奥底に隠れる繊細な表情を捉えているかのようです。
吉澤知美は、日常生活の中で繰り返されていく、生・死、光・影、喜び・悲しみ、快・不快といった、常に“対”となる存在があることで、互いの存在を確かめ合い、成り立っていくことに焦点を当て、主に油彩を使って制作しています。近年では、日々の制作時間の制約にも伴い、鉛筆画を描くことも多くなりました。油絵と同様に、彼女の作品に描かれる女性達はどれも、不安とも穏やかとも取れる表情で、その存在が主張されるかのような何もない背景に静かに現れます。「“対”があることでより一層一方を強く感じることができるのではないか。」という自身の問いに答えるようにして、一枚の絵の中で二つの存在を見せられるようにと描きます。溶け合った一つのものになる前に感じるものに触れたいと思いながら、形のない一瞬を求め続け、形を構築していくのです。描かれるモチーフが、その見かけとは別の何かを暗示していることも多くあるのが吉澤作品の魅力の一つだと言えるでしょう。
まとまった時間を自身の制作にあてることが難しい日々の中、少しずつ進めて完成させた作品群です。「作品を作りたい」という強い想いと周りからのサポートや理解を得られなければ生まれなかった、ママ達の新作群を是非お楽しみください。
まだコメントはありません