s+artss+arts(スプラスアーツ)より、遠藤学 個展「Spirits Planter -YEN-」の開催をお知らせいたします。
遠藤学の作品には、絵巻や物語絵を想起させるような背景に、ボールペンの細密画で描かれた動物や樹々が凛とした表情で現われます。独学で本格的に絵画を始めて以来、その巧みな技術と繊細な感覚から生まれる力強くも美しい作風で、観る者を魅了しています。近年では、特にSNSやインターネットを通じて国内だけでなく海外からも注目が高まっており、期待を集める作家の一人です。
自然界の持つ寛容性、循環性や脅威、そして美しさをテーマに描かれる遠藤の作品は、森に広がる苔のように、一つ一つの要素が境目なく繋がり、気づかぬうちに異なるモチーフに変化していることが多く見受けられます。例えば、動物として見ていたものが、あたかもそれが彼らにとっては普通のことであるかの様に自然に雲や植物と一体化しているのです。優しくも厳しく、相反する様々な表情を持ち合わせる自然界のエネルギーを、様々な動物の姿を軸に魂を吹き込むかのように繊細なタッチで大変美しく表現しているのが特徴的だと言えるでしょう。
今回は、初個展より続いているSpirits Planterシリーズの第8回目となります。これまで展示タイトルの後に数字を記載していましたが、本展では「Spirits Planter -YEN-」といたしました。“YEN”は、これまでも遠藤の作品名に時折出てきていた言葉ですが、円や縁など、様々な意味合いを含んでいます。形や考え方も含め、この世の中には、エンであるものが多いと考える遠藤の作品は、これまでと変わらない根底にあるテーマを軸にしながらも、年々神々しさを増しているように見受けられます。今回のメインとなる作品「YEN」も、光背を背負った主尊と左右には阿吽の猫が描かれ、仏教における三尊像を容易に連想させることでしょう。また、猫、鹿、狼などの実在する動物に加え、昨年から龍という神話に現れる想像上の生き物も作品に描かれるようになりました。今年は鳳凰も加わり、作品で表現される生き物の幅が広がっています。
遠藤の作品に現れる動物達は、そこにいるという存在そのものを重視して描かれています。動物が持つ感情的なものを敢えて表現せず、周りで起こる全ての事は、何事も取るに足りないと言わんばかりの、無の境地に至っているかのような雰囲気が醸し出されています。そこからは、真っ直ぐに前を向き、何事にも動じない本質的な要素を強く感じることが出来ることでしょう。
阿で始まり吽で終わる阿吽が森羅万象を表し、YENと題された本展示は、これまで遠藤が描いてきたSpirits Planterに変化が引き起こされることを示唆しているかのようです。これを機に、遠藤学の新作群を是非ご高覧ください。
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