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長谷川学 「わたしは、鉛筆」

TEZUKAYAMA GALLERY
終了しました

アーティスト

長谷川学
このたび、TEZUKAYAMA GALLERY-MAIN GALLERYにて3月22日(金)から4月20日(土)の期間、長谷川学の個展「I, Pencil わたしは、鉛筆」を開催いたします。

長谷川学(はせがわ・まなぶ)は1973年東京都に生まれ、2000年に多摩美術大学美術学部絵画科版画専攻を卒業。現在も東京都を拠点に制作活動を続けています。凹凸のある対象物の上に紙をのせ、表面を鉛筆で擦る事で模様を写し取る技法「フロッタージュ」を応用した平面と立体の両義性を持ち合わせた作品を制作しています。

幼少期の頃に上野の高架下で傷痍軍人を見て怖いと感じた記憶、80年代のSF戦争アニメブーム、修学旅行で訪れた長崎の原爆資料館の記憶、中学時代に森村誠一や松本清張の文学に触れた事で、物心がつく頃には「なぜ、人類は悲惨な戦争を繰り返すのか疑問や関心を抱くようになっていた」と長谷川は語ります。過去にあった大戦の歴史、今も遠く離れた国で続く内戦や戦争は、死に対する恐怖心と確かな現実味を持って、決して無視できない対象として長谷川の中に強く残ったのでしょう。

現在のフロッタージュによる制作は長谷川が大学在籍時に課題で取り組んだ事に端を発します。紙と鉛筆という素材が持つある種の懐かしさ、書いては消すという行為が端的に行える安心感、鉛筆から伝わってくる振動と心地よい書き味が無意識のうちに過去の記憶とも結びつき、制作行為をするうえで重要な素材と技法となっていきます。過去には1000体の髑髏やマリア像を反復してつくる修練とも取れる制作にも臨みました。その経験から長谷川の作品はオリジナルの複製という視覚言語に留まらず、目には映らない「真実」を追求する表現へと向かっていきます。その後、前述の幼少期から抱いていた戦争に対する思いと、銃の硬質で冷たい質感と鉛筆の鉛色に親和性を見出せた事によって、現在の武器をモチーフとした作風へと徐々に変化していく事となります。

武器をモチーフとした作品を作り始めた当初は、鉛筆と紙という素材が持つ脆弱性と、仏教と神道という相反する要素が同居した軍記物語である「平家物語」で描かれる諸行無常の世界観を重ね合わせ、自身の作品コンセプトとしてきました。

約9年ぶりとなる今展では、過去から現在まで世界各国の軍で正式に採用されている銃・手榴弾・ナイフ・刀・銃弾を扱った作品の他、印仏から着想を得たドローイング作品を発表します。展覧会タイトルとなっている「I, Pencil わたしは、鉛筆」はレナード・E・リード(1898-1983)のエッセイのタイトル「I, Pencil」からの引用となります。原文の中で、鉛筆1本が製造される背景には驚くほど多くの人々が繋がっていること、常に身近にある無意識の渦の中に身を置いている事について触れらています。

ポストコロナ以降、ロシアによる軍事侵攻やパレスチナ問題といった不安定な国際情勢が続く中で様々な問題が顕在化しました。いつの時代も無意識(あるいは無自覚)のうちに大きな渦の中に身を置き、抗え無い流れに飲み込まれていく人間の姿を、長谷川の作品に重ねて見る事が出来るのではないでしょうか。

スケジュール

2024年3月22日(金)〜2024年4月20日(土)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.tezukayama-g.com/exhibition/i-pencil
会場TEZUKAYAMA GALLERY
https://tezukayama-g.com/
住所〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F
アクセス地下鉄四つ橋線四つ橋駅6番出口より徒歩10分、JR関西本線難波駅北口より徒歩10分
電話番号06-6534-3993
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