ギャラリー・ソラリス染谷氏は2010年に、アジアから琉球弧へと連なる他界観を写し出した写真集『ニライ』にてさがみはら写真新人奨励賞を受賞。翌2011年からは対象を国内に絞って撮影し、2013年には6×6判を中心としたモノクロ作品による写真集『道の記』(蒼穹舎)を刊行しました。6×6という、どこか魔力的なフォーマットで日常の裂け目を凝視するように捉えた写真と、作家自身による手焼きプリントの美しさが相まったこの作品集は染谷氏の作家像を強く印象づけた一冊です。
近年の写真展「艪」(2015)、「ほうたれ」(2018)、「六の舟」(2021)では、35mmカメラとともに海沿いの町への旅を重ね、目の前のさりげない光景をモノクロで写し取ってきました。それらの写真では「道の記」に見られた凝視感は影をひそめ、表現や記録といった写真に求められる役割を肩からそっと下ろした静かな余韻を残します。
そういった変化と対照的に、染谷氏の写真には一貫して、その美しいプリントと相反した生きていることの寂しさをふと滲ませる残滓感が漂っています。その「終わりのない写真」の佇まいは、観る者の中に長く留まるものでしょう。
大阪では4年ぶりとなる染谷學の写真展「めばる」。作家自身の手焼きプリントならではの質感とともに、ぜひ会場でご覧ください。
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